榊原るみさんは「男はつらいよ」のマドンナ抜擢が転機に 「山田洋次監督とお茶を飲んでいる間に決まり…」

公開日: 更新日:

榊原るみさん(俳優/73歳)

 往年の人気女優、榊原るみさんは現在は復帰して活動中。ターニングポイントとなったのはマドンナ役に抜擢された「男はつらいよ」の第7作だった。

 1971年に公開された「男はつらいよ 奮闘篇」のお話をいただいた時はまだ20歳でした。無名に近い新人だったのになぜ抜擢されたかというと、オーディションはなくて山田(洋次)監督と喫茶店で直接お会いしましたら、お茶を飲んでいる間に出演が決まっちゃったんですよ(笑)。本当にのどかな時代でした。

 今思えば何を話したか覚えていないのですが、私の表情やしゃべり方で今度のマドンナ役の花子にちょうどいいと思われたのかもしれません。

 それまでマドンナは若尾文子さんや新珠三千代さんら有名な女優さんばかりでしたから、まだ何の色もついていない私がよかったのかもしれませんね。それで当時、最年少のヒロインを務めることに。

 でも、私は「男はつらいよ」に抜擢される重大さに気づいてなかったですね。というのも、映画をあまり見せてもらえずに育ちましたから。親から「映画館は暗いし不良が行く場所だから行っちゃダメ」と言われ、唯一親が同伴して見にいっていい映画はオードリー・ヘプバーンが出るようなハリウッド映画だけ。だから、ヤクザ映画全盛の日本映画を見ることがなかった。寅さんも見せてもらえなくて。それで逆に現場に対して怖さがなかったのかもしれません。

 現場ではキャストの方たちやスタッフさんにはとても大切にしていただきました。後で聞いた話ではマドンナの女優さんはプレッシャーでノイローゼになる方もいらして大変な役なんです。それに、当時の山田組の雰囲気も独特でスタジオ中がシーンとして私語を交わす人は誰もいなくて。山田組のスタッフの方たちもプライドが高かったですから。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    名球会入り条件「200勝投手」は絶滅危機…巨人・田中将大でもプロ19年で四苦八苦

  2. 2

    永野芽郁に貼られた「悪女」のレッテル…共演者キラー超えて、今後は“共演NG”続出不可避

  3. 3

    落合監督は投手起用に一切ノータッチ。全面的に任せられたオレはやりがいと緊張感があった

  4. 4

    07年日本S、落合監督とオレが完全試合継続中の山井を八回で降板させた本当の理由(上)

  5. 5

    巨人キャベッジが“舐めプ”から一転…阿部監督ブチギレで襟を正した本当の理由

  1. 6

    今思えばあの時から…落合博満さんが“秘密主義”になったワケ

  2. 7

    巨人・田中将大が好投しても勝てないワケ…“天敵”がズバリ指摘「全然悪くない。ただ…」

  3. 8

    高市早苗氏が必死のイメチェン!「裏金議員隠し」と「ほんわかメーク」で打倒進次郎氏にメラメラ

  4. 9

    世界陸上「前髪あり」今田美桜にファンがうなる 「中森明菜の若かりし頃を彷彿」の相似性

  5. 10

    三角関係報道で蘇った坂口健太郎の"超マメ男"ぶり 永野芽郁を虜…高畑充希の誕生日に手渡した大きな花束