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室井佑月作家

1970年、青森県生まれ。銀座ホステス、モデル、レースクイーンなどを経て97年に作家デビュー。TBS系「ひるおび!」木曜レギュラーほか各局の情報番組に出演中。著書に「ママの神様」(講談社)、「ラブ ファイアー」(集英社文庫)など。

天国と地獄はセット。地獄を恐れ、天国を味わわなくていいの?

公開日: 更新日:

 たとえば、誰かを愛し、別れがやってきて、地獄の苦しみを味わうのは、その人によって天国も味わったからだ。

 中山さんがこの言葉に心をえぐられたのは、彼女は知ってか知らずか、何度も天国と地獄を行き来していたってことなのだと思った。

 そして、彼女はそのときそのとき、一生懸命であったに違いない。

 地獄が素晴らしかったといえるのは、一生懸命であったからこそ。良いことや悪いことも含めての思い出や、当時滑稽だったかもと思える自分さえ、すべてを愛おしく感じたのでしょう?

 この頃の若い人たちは、恋愛によって傷つきたくないという人が多いらしい。

 もったいない。天国と地獄はセット。地獄を恐れ、天国を味わわなくていいの? 人生、一度きりなのに。

 中山美穂さんを思い浮かべると、夢を見ているような濡れた大きな目から思い出す。

 美しい人だった。あたしとおなじ54歳。冒頭の言葉が気に入ったのなら、もう一度、天国にいこうとしていたのかもしれぬ。彼女ならこれからも、何度も天国と地獄をトラベルできたろう。そのたび、泣いたり笑ったりして。あたしも彼女にあやかりたい。

 ファンでした。ご冥福をお祈りいたします。

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