若返りを求める女優が細胞分裂…「サブスタンス」の阿鼻叫喚を直視せよ!

公開日: 更新日:

「サブスタンス」全国公開中/配給:ギャガ

 男女を問わず、人は50歳を過ぎたころから「今の若さを維持したい」とか「若返りたい」と願うものだ。実は筆者も同じ。友人の「顔のシワがなくなるよ」との言葉を信じて1カ月前からビタミン剤を飲んでいる。

 映画「サブスタンス」はアンチエイジングがテーマだ。というか、アンチエイジングの変化球ともいえるホラーSF。ブラックコメディー風にまとめた衝撃作だ。

 オスカーなど数々の賞に輝いた女優のエリザベス(デミ・ムーア)は人気も容姿も衰えていた。50歳を迎えた彼女はプロデューサーのハーヴェイ(デニス・クエイド)から番組降板を宣告されてしまう。

 傷心のエリザベスは運転中に衝突事故を起こす。奇跡的に無傷だったが、気がつくと、ポケットに「人生を変えた」というメモに包まれたUSBが入っていた。中身は「1回の注射で新たな細胞分裂が始まり、より若く美しく完璧なもう一人のあなたを作り出す」という再生医療「サブスタンス」の広告映像だ。一度はごみ箱に捨てるが、鏡の中の自分を眺めた後、エリザベスはUSBに記された番号に電話をかける。すると翌日「503」と書かれたカードキーが送られてきた。

 告げられた住所に出向くと、廃虚のようなビルがあり、中に入ると真っ白な部屋が現れ、「503」のロッカーに段ボール箱が置かれていた。箱を持ち帰り、説明書通りに注射を打つ。するとDNAが分裂し、彼女の体内から「より完璧な自分」が現れる。

 新たに生まれた美女はオーディションを受けて「スー」と名乗る。ハーヴェイはスーを「ゴージャスでかわいい」と一目で気に入り、彼女の新番組をスタート。ただし問題があった。エリザベスとスーは1週間ごとに入れ替わらなければならないという絶対のルールがあるのだ。

 若さと美貌に満ちたスーはたちまちスターになり、ついには大晦日の特別番組の司会者に大抜擢。チャンスを逃したくない一心から、1週間で交代するルールを破ってしまう。そこに待ち受けるのは狂気の結末だった…。

 本作の惹句は「かわいいが暴走して、阿鼻叫喚」。映画はミステリアスにスタートする。観客は「これから何が始まるのか」とそのいかがわしい雰囲気に引き込まれ、暴走を目撃するわけだ。

 エリザベスが訪ねたのは「ゴキブリ注意」の張り紙のある薄汚いビル。その一室のロッカーから取り出した箱には「1回限り」「母体の栄養」など不気味な但し書きの若返りキットが入っていた。恐る恐る使うとエリザベスは苦しみ出し、彼女の背中を突き破って新たな美女が登場。この「エイリアン」じみた展開により、映像は初老の女から美貌のギャルへと大チェンジをはかる。女体好きな男には大いに眼福だ。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 芸能のアクセスランキング

  1. 1

    岡山天音「ひらやすみ」ロス続出!もう1人の人気者《樹木希林さん最後の愛弟子》も大ブレーク

  2. 2

    不慮の事故で四肢が完全麻痺…BARBEE BOYSのKONTAが日刊ゲンダイに語っていた歌、家族、うつ病との闘病

  3. 3

    福山雅治&稲葉浩志の“新ラブソング”がクリスマス定番曲に殴り込み! 名曲「クリスマス・イブ」などに迫るか

  4. 4

    国分太一の先行きはさらに険しくなった…「答え合わせ」連呼会見後、STARTO社がTOKIOとの年内契約終了発表

  5. 5

    長嶋茂雄引退の丸1年後、「日本一有名な10文字」が湘南で誕生した

  1. 6

    南原清隆「ヒルナンデス」終了報道で心配される“失業危機”…内村光良との不仲説の真相は?

  2. 7

    100均のブロッコリーキーチャームが完売 「ラウール売れ」の愛らしさと審美眼

  3. 8

    文春が報じた中居正広「性暴力」の全貌…守秘義務の情報がなぜこうも都合よく漏れるのか?

  4. 9

    AKB48が紅白で復活!“神7”不動人気の裏で気になる「まゆゆ」の行方…体調は回復したのか?

  5. 10

    年末年始はウッチャンナンチャンのかつての人気番組が放送…“復活特番”はどんなタイミングで決まるの?

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「おまえになんか、値がつかないよ」編成本部長の捨て台詞でFA宣言を決意した

  2. 2

    これぞ維新クオリティー!「定数削減法案」絶望的で党は“錯乱状態”…チンピラ度も増し増し

  3. 3

    「おこめ券」迫られる軌道修正…自治体首長から強烈批判、鈴木農相の地元山形も「NO」突き付け

  4. 4

    査定担当から浴びせられた辛辣な低評価の数々…球団はオレを必要としているのかと疑念を抱くようになった

  5. 5

    岡山天音「ひらやすみ」ロス続出!もう1人の人気者《樹木希林さん最後の愛弟子》も大ブレーク

  1. 6

    12月でも被害・出没続々…クマが冬眠できない事情と、する必要がなくなった理由

  2. 7

    やはり進次郎氏は「防衛相」不適格…レーダー照射めぐる中国との反論合戦に「プロ意識欠如」と識者バッサリ

  3. 8

    ドジャース佐々木朗希の心の瑕疵…大谷翔平が警鐘「安全に、安全にいってたら伸びるものも伸びない」

  4. 9

    黄川田地方創生相が高市政権の“弱点”に急浮上…予算委でグダグダ答弁連発、突如ニヤつく超KYぶり

  5. 10

    2025年のヒロイン今田美桜&河合優実の「あんぱん」人気コンビに暗雲…来年の活躍危惧の見通しも