若返りを求める女優が細胞分裂…「サブスタンス」の阿鼻叫喚を直視せよ!

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盛りを過ぎた女優の悪あがきと若き美女の上昇志向がガチンコ

 ふつう若返りのドラマだと、主人公の体がピチピチに蘇るものだが、本作は違う。主人公の肉体からもう一人の女性が誕生。しかもその女性が別人格を持つのだから、話が複雑だ。

 かくして老若2人の女の確執が発生。やがて憎悪という形に発展する。その先にスーの大晦日特番の司会という野望が仕込まれている。

 こうした女性のあくなき欲求をスロットル全開でスパークさせるのがプロデューサーのハーヴェイだ。こいつがいかにもテレビ界の実力者という軽薄かつエゴイスティックなキャラで、第一線への帰り咲きに焦るエリザベスを追い込んでいく。

 というわけで本作は、自己中プロデューサーの冷徹さと盛りを過ぎた女優の悪あがき、若き美女の上昇志向がガチンコするドラマなのだ。

 それにしてもデミ・ムーアはすごい。61歳の全裸を披露。やや体形が崩れた肉体を人目にさらした。よくぞ頑張った。第82回ゴールデングローブ賞主演女優賞を受賞したのも当然だ。

 一方、スーを演じたマーガレット・クアリーは胸も尻も腰のくびれも超一級品。彼女の全裸だけでも本作を見る価値がある。特にヒップラインは生ツバものだ。

 ラストの「阿鼻叫喚」は人によって評価が分かれるだろう。筆者は視聴率と金銭的利益を貪り続けるテレビ業界への痛切なブラックジョークと見た。

 本作には謎解きの要素が仕掛けられている。ひとつはスタンリー・キューブリックへのオマージュらしきシーン。「503」のロッカーのある部屋や長い廊下が赤く染まる場面、修羅場の音楽などでキューブリック作品を思い出した。

 もうひとつは大晦日特番でのダンサーの衣装。子供も見ているテレビ放送なのに美女たちはTバックをはき、上半身はトップレス。ありえない設定だ。映画「ジョーカー」のようにフィクションをアピールしているのかもしれない。

 若さと美に対する飽くなき追求は人間の永遠のテーマ。そういえば日本にも整形しすぎて口がうまくふさがらなくなった美人歌手がいたよなぁ。彼女の晩年の顔を思い浮かべながら見ると、さらに面白くなりそうだ。「人形の家」を聴きたくなった。

(文=森田健司)

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