メディア人が肝に銘じるべき「ロックの伝道師」の腹のくくり方
彼が「ロッキング・オン」というロック雑誌を創刊して、軌道に乗った79年に書いた文章。
コラムの内容としては、雑誌メディアは、ある程度は読者層を絞らなければならないが、しかし売れないからといって「受け手が馬鹿だから」などというのは本末転倒、なぜなら、そもそも雑誌などのメディアは、多くの人とコミュニケーションを可能にした発明なのだから、というもの。
そんなコラムのクライマックスで、この言葉がドーンとくる。
昨今、音楽ライターの多くは、ほとんどが音楽情報業になっている。当時よりもいよいよ細分化された音楽メディアの中で「自分(が推している音楽家)のことをわかってくれる素敵な」読者に向けて、細々とした情報を届けるお仕事。
対して私は、白状すれば、いつも「目の前に居るひとつも話の通じない最悪のその人」に向けて書いているつもりだ。
日刊ゲンダイという一般メディアで、音楽について書くのに必要なのは、そういう腹のくくり方である。