最新回の朝ドラ「ばけばけ」ウラの見所~“闇落ち”三之丞(板垣李光人)が切ない…トキ(高石あかり)の言葉は優しいウソなのか
第3週「ヨーコソ、マツノケヘ。」#15
【朝ドラのツボ!】
トキ(高石あかり)の献身もあり、傳(堤真一)の体調に回復の兆しが。トキは代理社長の三之丞(板垣李光人)に回復の報告をするが、三之丞はどこか上の空。
そんな中、工場では検番の平井(足立智充)による厳しい品質検査が行われ、失敗が続くせん(安達木乃)についに平井の手が出てしまう。その瞬間を、久しぶりに様子を見に来た傳が目撃してしまう。傳は三之丞に事態の説明を求める。
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【本日のツボ】
“闇落ち”三之丞がついに秘密をバラすも…
※※以下、ネタバレあります※※
雨清水家の朝。トキのおかげで傳は回復しつつあるようで、お粥を完食。「食べた、食べた、食べられた」「おトキのおかげじゃ」と傳。そこにやってきたタエ(北川景子)、この時、傳ではなく、「あなた」と呼んでいたのには驚きました。タエのなかで何か変化があったのでしょうか。
工場に戻ったトキは、三之丞に、傳の快復を報告します。ところが、三之丞は「ふ~ん」と気のない返事。トキを見て、「言われてみればそうかもね」と呟きます。もっか絶賛、闇落ち中というところでしょうか。三之丞、目に力がありません。
そんなふたりの背後、工場から平井の罵声が聞こえてきました。「またキズ機(はた)じゃ。ここもここもここも。何度言えばわかる? 工場を潰す気か、潰す気なんか~」とおせんに責めより、頬を叩いてしまいます。
その場面に遭遇したのが、久しぶりに工場に現れた傳でした。女工たちにカステラを持って様子を見に来たのでした。
トキの「知っちょるけん」は優しい嘘?
「どういうことじゃ、説明せい」と三之丞に詰め寄る傳。「無理です。いつも兄ばかり優遇されて何も教わっていない三男坊が、いまさら都合よく駆り出されても!」
感情が爆発してしまった三之丞。「なのにおトキは…。長男でも、雨清水家の子どもでもないのに目をかけられて…。何故かと思えばなんのことはない。うちの子だった。うちの…私の…姉上だった」。ついに秘密を暴露してしまいました。
そんな三之丞を見つめるトキの目には涙があふれているようにみえましたが、まるで聞こえなかったかのように、三之丞を無視。「もう少しの辛抱ですからね」と傳に声を掛けました。
止まらない三之丞。傳に近づき、「手放したぶん愛おしくなるのなら…。だったら私もよそで育ちたかったです」と三之丞。「何をいうんじゃ…」と傳の手が三之丞の顔を優しく撫でました。
少し冷静になった三之丞。トキに、「急にこんな話をして、ごめん」と謝りました。
意を決したようにトキが口を開きました。「もう知っちょるけん。知っちょります、すべて」。誰かに聞いたわけでなく、なんとなくそうではないかと思っていた、と語るトキ。
これがその場を収めるための優しい嘘なのか、ほんとうのことなのかはわかりませんが、トキが誰よりも一番おとなだったということでしょうか。
そして、傳は亡くなりました。松野家では、いつものように明るく振る舞ってトキを気遣います。
「ちょっと一人になりたい。一人になって取り乱したい」とトキ。「いくらでもいくらでも取り乱してらっしゃい」「好きなだけ取り乱してこいよ」そんな声に送られて、いつもの手洗い場で、ひとりで泣きます。そこに幼なじみのサワ(円井わん)が現れ、サワに抱きついて、思いっきり泣き叫び、感情を爆発させることができました。
つらく悲しい場面でしたが、「取り乱したい」の応酬がコミカルで、おかしさがあり、救われました。
(桧山珠美/TVコラムニスト)