(4)暗い部屋での6~7時間の睡眠が抗利尿ホルモンの働きを低下させる
メニエール病では、「投薬」「中耳加圧療法」「手術」といった治療を行う前に、まずはセルフケアをしっかり行ってもらうと前回の本欄で触れました。セルフケア、つまりは水分摂取と運動です。それがどれだけ効果をもたらすのかを示すために、私たちは臨床試験を実施しました。
メニエール病を患う男女297人を4つのグループに分類。それぞれのグループには2年間にわたり次のような条件を続けてもらい、めまいの程度や抗利尿ホルモン(ストレスホルモン)の増減を計測しました。
・グループA:メニエール病の飲み薬の服用
・グループB:1日1.5~2リットルの積極的な水分摂取
・グループC:飲み薬の服用と中耳加圧療法
・グループD:毎日部屋を暗くした状態での6~7時間睡眠
中耳加圧療法は、専用の装置で鼓膜に加圧刺激を加え、内耳のリンパ液の流れを改善する方法です。日本で研究、開発された治療法で、2018年に保険適用となっております。飲み薬で症状改善が見られない場合に検討されます。