「マクリーンの川」ノーマン・マクリーン著、渡辺利雄訳
「マクリーンの川」ノーマン・マクリーン著、渡辺利雄訳
番外として、翻訳ものを一編紹介。ブラッド・ピット主演の米映画「リバー・ランズ・スルー・イット」の原作本である。
ロッキー山脈から流れ下る2本の渓流が合流するモンタナ州の田舎町を舞台に、フライフィッシング(FF)を愛好する家族の愛、絆、確執、別離を描く。
父は無類のFF好きで2人の兄弟、兄のノーマンと3歳年下の弟のポールはマスを釣ることを当たり前の日常として育った。
兄は学業優秀。弟はヤンチャだがFFの腕は天才的。長じて、兄は家庭を持ってつつましく暮らしているが、弟は花形新聞記者として世間に持ち上げられ、いつしか酒と博打と女に溺れていく。
そんなある日、兄弟は故郷の川に帰郷し、父を交えた3人で思う存分ロッドを振る。純粋無垢なモンタナのマスと対峙するうち、それぞれの内にあるわだかまりや不信感が、雪どけ水のように溶解してゆく……。
(集英社文庫)