固定ファンがいるのに…“お金の事情”で時代劇は減る一方
そこで、やむを得ずセットでの撮影となるが、時代劇のセットは金もかかるし、時代考証も怪しくなる。故・松方弘樹さんが晩年の映画撮影の時のこと。監督やスタッフが若手で勝手がわからなかったようで、セットの和室を見るなり「おい、この時代にこんな置物はないぞ」とアドバイス。結局、作品全体の時代考証を務め、「主演料だけじゃ足りないよ」とボヤいていたそうだ。
身分に応じたカツラも必要で、それを演者の頭にあわせる「結髪」と呼ばれる担当者も必要なのに、高齢化で極端に数が少なくなっているらしい。いや、“斬られ役”まで老齢化しており、うまい斬られ方をする役者が減ってしまったという。
くだんのプロデューサーによると、普通の映画なら1日200万円のところ、「時代劇のロケはその倍以上に費用がかさむ」のだとか。祭りのシーンは出店や屋台がバックに映るものだが、今は予算上、奥行きが出せない。映り込むエキストラの衣装・カツラ代もバカにならず少数精鋭。「もう無理ですよ」と言うのだ。
いい時代劇を見たい私としては、真田広之の「SHOGUN 将軍」のように“アメリカ作品”に頼るしかないのかと頭を抱えてしまう。



















