「勉級不足」からガムシャラな日々で手にした柿澤勇人の確固たる自信
「“自分は天才なんじゃないか”と本当に勘違いしていました」(双葉社「THE CHANGE」24年4月14日)と言うのも無理もない。しかし、そこからが“地獄”だった。
オーディションにことごとく落ちる日々が続いた。そんな中でようやく掴んだのが蜷川幸雄が演出する舞台「海辺のカフカ」だった。だが、稽古では毎日「ダメだ、ダメだ!」と否定され続け、鼻っ柱が折られた。劇団四季の美しく正しい世界観とは真逆。「世の中には汚いもの、イヤなものもある。それを鏡のように映すのが役者だ」(テレビ朝日「テレ朝POST」24年3月8日)というのが蜷川の考え方だったのだ。「もう俳優を辞めてしまえ」。そんな罵倒まで飛んできた。
事実、俳優を辞めようかとも思ったという柿澤は、蜷川に勉強不足だと指摘されたのを思い出し、その後、時間があれば映画を2~3本見て、音楽を聴き、本や戯曲を読み漁った。そんなガムシャラな日々を3年続け、再び蜷川幸雄と対峙する。「海辺のカフカ」の再演にキャスティングされたのだ。その最初の本読み。柿澤は並々ならぬ決意でそれに挑んだと冒頭の番組で明かしている。「蜷川さんにこれで成長してないなって言われたとしたら、もう降板しよう」と。すると本読みを聞いた蜷川は柿澤に言った。
「この3年の間、何があったの?おまえめちゃくちゃ芝居の質が良くなってるよ」
涙が出るほどうれしかったという。もはや柿澤にあるのは“根拠のない”自信ではない。確固たる自信を手に入れたのだ。



















