著者のコラム一覧
てれびのスキマ 戸部田誠ライタ―

1978年生まれのテレビっ子ライター。最新著「王者の挑戦『少年ジャンプ+』の10年戦記」(集英社)、伝説のテレビ演出家・菅原正豊氏が初めて明かした番組制作の裏側と哲学をまとめた著者構成の「『深夜』の美学」(大和書房)が、それぞれ絶賛発売中!

「勉級不足」からガムシャラな日々で手にした柿澤勇人の確固たる自信

公開日: 更新日:

「“自分は天才なんじゃないか”と本当に勘違いしていました」(双葉社「THE CHANGE」24年4月14日)と言うのも無理もない。しかし、そこからが“地獄”だった。

 オーディションにことごとく落ちる日々が続いた。そんな中でようやく掴んだのが蜷川幸雄が演出する舞台「海辺のカフカ」だった。だが、稽古では毎日「ダメだ、ダメだ!」と否定され続け、鼻っ柱が折られた。劇団四季の美しく正しい世界観とは真逆。「世の中には汚いもの、イヤなものもある。それを鏡のように映すのが役者だ」(テレビ朝日「テレ朝POST」24年3月8日)というのが蜷川の考え方だったのだ。「もう俳優を辞めてしまえ」。そんな罵倒まで飛んできた。

 事実、俳優を辞めようかとも思ったという柿澤は、蜷川に勉強不足だと指摘されたのを思い出し、その後、時間があれば映画を2~3本見て、音楽を聴き、本や戯曲を読み漁った。そんなガムシャラな日々を3年続け、再び蜷川幸雄と対峙する。「海辺のカフカ」の再演にキャスティングされたのだ。その最初の本読み。柿澤は並々ならぬ決意でそれに挑んだと冒頭の番組で明かしている。「蜷川さんにこれで成長してないなって言われたとしたら、もう降板しよう」と。すると本読みを聞いた蜷川は柿澤に言った。

「この3年の間、何があったの?おまえめちゃくちゃ芝居の質が良くなってるよ」

 涙が出るほどうれしかったという。もはや柿澤にあるのは“根拠のない”自信ではない。確固たる自信を手に入れたのだ。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    北島三郎(3)「北島ファミリー」の長女・原田悠里が語る御大

  2. 2

    「マクドは健康保険と年金に加入できてよかった」 シニアが働き続けるために必要なこととは?

  3. 3

    徳川光圀(1)水戸黄門は全国漫遊などしていない 主に出かけたのは江戸と領地の往復

  4. 4

    東京・蒲田の2駅結ぶ蒲蒲線、大田区と地元を取材して分かった実現のハードルと地元の思い

  5. 5

    東京・大井町、OIMACHI TRACKSと対照的な東小路飲食店街、商店街理事長が直面する2つの問題

  1. 6

    NHK夏の音楽特番「うたであえたら」は北川景子のMCが見事 カオスと化した近年の紅白はお手本に

  2. 7

    「山口組」抗争指定解除へ、それでも対立は続く…6代目幹部「喜ぶのは早い」

  3. 8

    バナナマン日村が簡単に復帰できそうにない「もう1つの理由」…レギュラー11本抱える人気者のジレンマ

  4. 9

    止まらない高市首相SNS発信に官邸総動員の実態…この週末は3日間で11連投も「ゴキブリ」投稿で大炎上

  5. 10

    清水アキラさんが三男急死の直前に語っていた“せがれ”のこと 良太郎さんに口説かれものまねショー復帰