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二田一比古ジャーナリスト

福岡県出身。大学卒業後、「微笑」(祥伝社)の記者に。その後、「Emma」「週刊文春」(ともに文芸春秋)をはじめ、多くの週刊誌、スポーツ新聞で芸能分野を中心に幅広く取材、執筆を続ける。フリー転身後はコメンテーターとしても活躍。

人気絶頂期の自殺の取材や報道の仕方ほど難しいものはない

公開日: 更新日:

 深く記憶に残る芸能人の自殺がある。1983年6月、俳優・沖雅也さんの京王プラザホテル47階からの飛び降り自殺(享年31)。「太陽にほえろ!」の刑事役で人気を博していた最中の自殺だった。さらに養父になっていた事務所社長・日景忠男に宛てた「おやじ、涅槃で待つ」の遺書の一部が明らかになり、沖の秘めた私生活がさらなる衝撃を与えた。世間も男と男の世界を知ることになり、新宿2丁目のゲイバー地区が注目されるきっかけになった。

 沖が自殺した年にアイドル歌手としてデビューしたのが岡田有希子だった。順調にアイドルとしての階段を上っていたはずが、1986年4月、所属していた芸能プロ「サンミュージック」のビルの屋上からやはり飛び降り自殺した。デビューからわずか3年、18歳の若さだった。

 人気絶頂期の自殺は意外な形を見せる。ドラマで父と娘の役で共演していた俳優の峰岸徹(享年65)との関係が自殺の一因との話が流れだした。40過ぎた家庭ある峰岸と2回り近く年の離れた岡田の不倫は常識的には考えられなかったが、岡田が「理想の男性」に峰岸の名前を挙げていたこともあり信憑性を増した。映像関係者からも「仲は良かった」という話ばかり。撮影所内の2人の写真も掲載されるなど峰岸の話は独り歩きした。ついには、自宅前で異例の会見に応じた峰岸は「自分は兄貴のつもりでしたが、彼女には別な感情があったかもしれない」と複雑な気持ちを明かすまでになった。いまだに自殺の真相は分かっていない。

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