著者のコラム一覧
神崎浩孝医学博士、薬剤師

1980年、岡山県生まれ。岡山県立岡山一宮高校、岡山大学薬学部、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科卒。米ロサンゼルスの「Cedars-Sinai Medical Center」勤務を経て、2013年に岡山大学病院薬剤部に着任。患者の気持ちに寄り添う医療、根拠に基づく医療の推進に臨床と研究の両面からアプローチしている。

「薬とマグロ」が中毒を引き起こす危険あり

公開日: 更新日:

 これまで、主に飲料に焦点を当てて、薬との飲み合わせを取り上げてきました。では、「食べ物」はどうでしょう?

 昔から、「ウナギと梅干し」や「天ぷらとスイカ」といったように、食べ物同士でも一緒にとらない方がよい組み合わせが知られているように、相性の悪い「薬と食べ物」の組み合わせはいくつもあります。

 抗結核薬の「イソニアジド」やパーキンソン病治療薬の「セレギリン」は、モノアミン酸化酵素(MAO)という生体内物質を阻害する効果のある薬です。これらMAO阻害薬を飲むことで、食品内の成分の代謝が妨げられて摂取過多状態になり、「食中毒」のような作用を引き起こすことがあります。注意が必要です。

 マグロなどの「赤身魚」には、ヒスチジンというヒスタミンのもとになる物質が多く含まれます。ヒスタミンは、じんましんや発疹などのアレルギー症状を引き起こす物質として知られています。赤身魚とMAO阻害薬を一緒にとると、ヒスチジンからできたヒスタミンの分解を薬が阻害し、アレルギー様の中毒症状を起こす危険があるのです。

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