著者のコラム一覧
青島周一勤務薬剤師/「薬剤師のジャーナルクラブ」共同主宰

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

犬を飼うことがひとり暮らし高齢者のメンタルを改善する?

公開日: 更新日:

 高齢者のひとり暮らしは、社会的な孤立をもたらす主な原因のひとつです。高齢者の社会的孤立はまた、心臓病や慢性的な痛み、あるいは孤独感やうつ病など、心身状態を悪化させるリスクとなります。

 他方で犬などのペットを飼うことは、孤独感をやわらげ精神的安定をもたらすことが知られています。ただ、ペットの飼育と社会的に孤立した高齢者の心身状態の関連性については、よく分かっていませんでした。そんな中、動物学に関する国際誌に、日本人を対象とした研究論文が2021年2月24日付で掲載されました。

 この研究は東京都大田区に在住している1万5500人を対象としたアンケート調査です。回答が得られた9856人(平均79・9歳)を対象に、心理的な健康状態と、社会的孤立度やペット(犬と猫)の飼育状況の関連性が検討されています。なお、研究結果に影響を与えうる年齢や性別、収入水準などの因子について、統計的に補正を行い解析されました。

 その結果、社会的に孤立している高齢者は、犬を飼っている(または飼ったことがある)人に比べて、犬を飼ったことのない人で、心理的な健康状態が悪いと報告する可能性が1・22倍、統計的にも有意に増加しました。他方で猫の飼育と心理的な健康状態については関連性を認めませんでした。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    立花孝志容疑者を"担ぎ出した"とやり玉に…中田敦彦、ホリエモン、太田光のスタンスと逃げ腰に批判殺到

  2. 2

    阪神・佐藤輝明にライバル球団は戦々恐々…甲子園でのGG初受賞にこれだけの価値

  3. 3

    FNS歌謡祭“アイドルフェス化”の是非…FRUITS ZIPPER、CANDY TUNE登場も「特別感」はナゼなくなった?

  4. 4

    阪神異例人事「和田元監督がヘッド就任」の舞台裏…藤川監督はコーチ陣に不満を募らせていた

  5. 5

    新米売れず、ささやかれる年末の米価暴落…コメ卸最大手トップが異例言及の波紋

  1. 6

    兵庫県・斎藤元彦知事らを待ち受ける検察審の壁…嫌疑不十分で不起訴も「一件落着」にはまだ早い

  2. 7

    カズレーザーは埼玉県立熊谷高校、二階堂ふみは都立八潮高校からそれぞれ同志社と慶応に進学

  3. 8

    日本の刑事裁判では被告人の尊厳が守られていない

  4. 9

    1試合で「勝利」と「セーブ」を同時達成 プロ野球でたった1度きり、永遠に破られない怪記録

  5. 10

    加速する「黒字リストラ」…早期・希望退職6年ぶり高水準、人手不足でも関係なし