著者のコラム一覧
永田宏長浜バイオ大学元教授、医事評論家

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

マダニとツツガムシが媒介する6種類の感染症 死亡例も

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 日本国内でマダニが媒介する感染症は、「ライム病」「野兎病(やとびょう)」「日本紅斑熱」「重症熱性血小板症候群」(通称SFTS)「ロシア春秋脳炎」の5種類。また、ツツガムシが「ツツガムシ病」を媒介します。ツツガムシは分類上マダニとは異なりますが、病気をうつされる側にとっては大した違いでありません。この6種類の病気について、少し詳しく見ていきましょう。

 まず「ライム病」です。この病気はボレリアというスピロヘータの一種によって引き起こされます。欧米では毎年10万人以上の患者が出ると言われています。4類感染症(全数報告義務)に指定されているため、国内の患者数は正確に把握されています。1999年から2018年の20年間で231人が感染しました。年間平均で11・5人ですから、かなり珍しい病気です。

 最初はインフルエンザに似た症状や、遊走性紅斑という特徴的な皮膚症状が現れます。進行すると全身に直径1cmほどのブツブツが出たり、顔面神経麻痺など末梢神経の異常が出たりします。さらに悪化すると慢性関節炎なども発症します。 近年、別種のボレリアが原因の回帰熱が少し注目されています。海外で感染して帰国した例が見つかっていますが、北海道や極東ロシアのマダニが回帰熱ボレリアを持っていることも確認されています。今後の動向が気になるところです。

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