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中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

LUNA SEA河村隆一さんは肺活量を懸念…肺がん手術で「呼吸機能」はこう変わる

公開日: 更新日:

 肺がんのうち、男性は4割、女性は7割を占めるのが肺腺がんです。肺の奥で酸素と二酸化炭素の交換を行う肺胞の周りにできるタイプで、たばことの関係が薄いことが分かっていまして、たばこを吸わなくても発症します。

 肺がん啓発イベントに出席した、ロックバンド「LUNA SEA」のボーカル河村隆一さんは自らが肺がんを発症した当時の心境を「非喫煙者なのになぜ」と語ったのも当然かもしれません。その河村さんが懸念したことが、「手術をして肺活量が落ちること」でした。この点は、ミュージシャンならずとも、皆さん心配されます。

 肺は、左が上葉と下葉、右が上葉、中葉、下葉に分かれます。肺腺がんの手術は、早期でも腫瘍がある葉単位で切除し、関連するリンパ節も合わせて取るのが標準です。切除のリスクは、小さくありません。発生部位によっては、2つの肺葉を切除するケースもあります。

 1つの肺葉切除では、一般に呼吸機能は8割前後に落ちるとされます。肺葉の大きさによるため、右の上葉は17%減、中葉は12%減、下葉は27%減です。大体2割減で、歩くと息切れをしやすいので手術後はリハビリが欠かせません。数カ月から半年ほどで、手術前に近い状態に回復するのが一般的です。

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