認知症の親から何度も電話が…どう対処すればいいのか

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「近所に住む母から毎日30分おきに電話がかかってきて、電話に出ないと家まで押しかけてくるのですが……」

 そう話すのは、都内に住む50代の女性認知症の母が暮らす実家から歩いて15分の場所に住んでいて、1日20回以上かかってくる電話に困っていると言います。実際、診察でご家族とお話をする際に受ける相談で多いのが、認知症の方による“電話攻撃”です。

 認知症になると、日時や場所といった、現在、自分が置かれている状況を把握できなくなる見当識障害が見られます。精神面では不安になりやすく、自宅に1人でいると「ここはどこなのか」「家族はどこにいるのか」と、パニック状態に陥り、安心を求めて家族に何度も電話をかけてしまうのです。

 認知症が進行すると、短期記憶障害によって直前の出来事を思い出せず、何度も同じ質問を繰り返すようになります。ですから、家族が「何度も電話をかけないで」といくら伝えても、本人からしてみれば初めて電話をかけたと思い込んでいるので、本人をさらに不安にさせるだけでなく、イライラさせてしまう恐れがあります。とりわけ注意したいのがレビー小体型認知症のケースです。特徴的な症状に「幻覚」があり、幻覚を現実に存在する人物だと見間違い「自宅に不審者がいる」と警察に通報してしまう患者さんも少なくありません。1度や2度であれば警察の方も理解してくれますが、1週間に何度も通報して、そのたびに対応するとなれば家族も疲弊するでしょう。

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