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多摩川の渡し舟<尾山台>

 世田谷の尾山台に住んで20年近い知人に街の雰囲気を聞くと、「こぢんまりとして、居心地がいい」という答えが返ってきた。商店街では年に数回、盆踊りや路上ライブが行われているし、多摩川に出れば、「自然が残っている」と少し自慢げだ。ただ、商店街は後継者不足もあって閉める店がぽつぽつ増えており、以前ほどの活気は薄れてきているという。

 春の陽気に誘われ、その尾山台へ。多摩川に向かって歩を進めてみる。まさに汗ばむ陽気だが、街路樹の青葉がすがすがしい。

 田園調布雙葉小学校を左手に見ながら横をすり抜けると、今度は右に東京都市大の世田谷キャンパスが見えてくる。東京都市大といってもなじみが薄いだろうが、09年までは武蔵工業大を名乗っていた大学だ。

 ここを越えた途端、風が変わったように感じる。多摩川の心地良い風が顔を洗うのだ。

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