2カ月連続で激減…新築マンション発売を“3重苦”が襲う
案の定、杭打ち問題がマンション業界に深刻な影響を与えている。売れに売れていた首都圏のマンションが、パタリと売れなくなっているのだ。
不動産経済研究所によると、10月の首都圏の新築マンションの発売戸数は2921戸と、前年同月比6.5%減。2カ月連続のマイナスだった。10月単月でも過去3番目の低さ。契約率も好不調の目安となる70%を2カ月連続で割り込み、68%だった。
住宅会社にとって10月は「秋商戦」がスタートする大事な時期なのに、杭打ち問題の発覚後、モデルルームへの来訪者が激減しているという。
この先、マンション価格はどうなるのか。いまが“買い”なのか。住宅ジャーナリストの榊淳司氏はこう言う。
「マンション市場は、都心と郊外で2極化していました。都心のマンションは飛ぶように売れる一方、郊外は簡単に売れない。都心の億ションなど高級物件の買い手は、富裕層と中国人です。富裕層は“相続税対策”として、中国人は“投資物件”として買い、いずれも購入後、賃貸に回していた。ところが、異変が起きつつあります。理由は、国税当局が、マンション購入による“相続税対策”を許さなくなったことです。となると、富裕層には買うメリットがない。さらに、中国人も様子を見始めている。アメリカが年内に利上げする可能性があるからです。日本でのマンション投資は3~5%の利回りですが、アメリカの金利が上がったら、もっと高利回りを期待できる。もし、米FRBが利上げを決定したら、ドルを手にするために、中国人が日本のマンションを一斉に売る可能性がある。富裕層と中国人が購入をやめたら、都心のマンションバブルは終わります」