30ドル割れ目前 「原油安」は庶民に唯一の朗報となるか
12年ぶりの安値をつけた原油価格も株価同様、下げ止まる気配がない。2014年夏までは1バレル=100ドルを軽く超えていたが、長引く供給過剰によって、今や30ドル台割れも時間の問題となってきた。
新年早々、サウジがイランと国交を断絶。中東情勢の混乱は本来、原油の高騰要因のはずだが、むしろ断交によって「両国が加盟するOPECの協調減産が遠のいた」(市場関係者)と売り材料視されている。そこに世界第2の原油消費大国である中国経済の先行き不安も重なり、下落に拍車を掛けている。
歴史的な原油安を受け、国内のレギュラーガソリンの店頭価格は10週連続で値下がり。1リットル=110円を切るGSも目につくようになった。「生活の足」としてマイカーの欠かせない地方はニンマリで、実質賃金のマイナス分を浮いた通勤費で何とか補っていることだろう。
ちばぎん証券顧問の安藤富士男氏は「生活者視点に立てば、原油安は“朗報”です」とこう言った。
「ガソリン価格はまだまだ下がり、春までには100円を切る局面もありそうです。電気料金も燃料コスト減に加え、小売り自由化もあって値下げ競争は激しさを増すばかり。当然、輸送コスト全般が下がり、ヤマト運輸などの宅配料金やネット通販などの配送料だって安くなる可能性がある。円高基調がこのまま続けば、原油安との相乗効果で、庶民生活を苦しめてきた値上げラッシュにも、歯止めが掛かりそうです」