杉村太蔵さん<1>父親が「働かないなら死ね~ッ 出て行け」

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 肩書は薄口政治評論家だ。2005年の郵政解散総選挙で、タナボタ当選した杉村太蔵さんである。当選直後に有頂天になって、「早く料亭に行ってみたい」とか「給料は2500万円。念願のBMWが買える」など奔放発言を連発、世間を呆れさせた。だが、そのキャリアをウリに芸能界でしぶとく生き残っている。

「どこから話せばいいか。実は私ね、就職のときにつまずきまして。というか、大学は6年間通って04年の3月に“満期自主退学”、ハハハ。一応、学生時代は弁護士になろうと司法試験を目指したんですが、試験はダメ、卒業単位は足りない、就活もしていないの“ないないづくし”で、一度は旭川の実家に戻ったんです。

 ところがですね、歯科医をしている父親が烈火のごとく怒り出しまして……。“この先、どうするんだ?”“歯医者を手伝います”“いい加減にしろ、資格もないくせに”と、こんなやりとりがあった直後がスゴかった。“何でもいいから働け”“働かないなら死ね~”って怒鳴られた。オヤジに怒られたのは、生まれて初めて。最後は、“旭川に帰ってくるな、出てけッ”と。驚きました。ま、それで目が覚めたんですけどね」

 杉村さんは、97年のなみはや国体でテニス少年男子ダブルスで優勝。その実績が買われ、98年に筑波大学体育専門学群にスポーツ推薦で入学した。だが、間もなく、つくば市内にあったワンルームのアパートで、引きこもり状態になってしまう。

「まず、授業についていけない。受験勉強もしてないから、内容がサッパリわからなかった。教授からは、“君は高校時代何をやってきたんだ”と、お目玉を食らったけど、“テニスです”としか言いようがない。本当にそうなんですから。本来は、スポーツ推薦だからテニス部に入部するのが筋なんだけど、それもしなかった。カッコよく言えば、バーンアウト(燃え尽き)症候群。意欲も目的もなくなってたんです。

 1年後、大学から実家の親に連絡が行って授業にもテニス部の練習にも出ていないことが発覚。母親が旭川からアパートまで訪ねて来ました」

 母親の励ましを受けた杉村さんは、心機一転、司法試験を受ける決意を固める。曽祖父が弁護士で、実家には専門書も多かったからだ。

「先祖が舞い降りてきて、“太蔵、弁護士になれ”と言われたような気がしたんです」

 猪突猛進。学校には法学部への転部を申し出た。すると、「法学部の前にテニス部に行って下さい」と、即座に却下されたという。スポーツ推薦での入学だから当然か。

 以降、大学に籍を置きながら法学部の授業に出て、司法試験の勉強に打ち込んだのだが……。

「結局は夢ばかり大きくて気がついたら足元には何ひとつ残っていなかった。それで大学を辞めて実家に帰ったわけです」

 仕事探しが始まるのは、04年の4月からだ。

 =つづく

 (取材・文 関根一郎/日刊ゲンダイ)

▽すぎむら・たいぞう 1979年8月、旭川市生まれ。筑波大学中退後、派遣会社を経てドイツ証券入社(契約社員)。05年衆院選で初当選(比例南関東ブロック)。現在、慶応義塾大学大学院メディアデザイン研究科後期博士課程に在学中。

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