杉村太蔵さん<4>株も為替も債券も何の興味もなかったが…
ビル管理の派遣社員から外資系証券会社の契約社員に。仕事も一変し、給料も上がったが……。
「1カ月更新の契約社員でしたから、契約更新日が近づくたびにビクビクしてました。冗談じゃないんです。雑用係とはいえ正社員のアナリストたちに、“使える男だ”と、思ってもらわないとクビを切られかねない。ない知恵を絞りましたよ。
たとえば、“ボールペン持ってきて”と指示されたとき、どうします? 黒色を1本持っていく? それじゃダメ。私は黒、赤、青の3色を準備して、さらにメモ用紙も持っていった。デスクの蛍光灯が切れたときは、蛍光灯を替えて、かさの部分のホコリも拭く。“ついでにキレイにしときました”と言って引き揚げる。外資系では、“ボクはアナタのために何かしてるんだ”とアピールすることは大事だと思ってました」
一種の自己アピール作戦か。気配りには抜かりはなく、契約は更新され続けた。