音楽事務所社長が次々に繰り出した“くだらない言い訳”
本連載で未払いトラブルを取材する中で目立つのが、未払いをする側の見苦しさだ。まるで子供のような言い訳で逃げる業者に、「せめて誠意ある言葉で説明してくれれば」と被害に遭ったフリーランスたちは嘆く。
今回も呆れた言い訳オンパレードの案件を紹介しよう。被害者は、レコーディングエンジニアのUさん。2年前に支払われるはずだったギャラがいまだに支払われていない。
「インディーズのミュージシャン・IさんのCDを制作するということで、Iさんが所属する事務所の社長兼プロデューサーのHさんから仕事が来ました。この事務所にはIさんとH社長の2人しかおらず実質個人事務所のようなものですが、H社長は大手音楽会社の元社員という肩書。さらに以前も仕事を受けたことのある会社だったので信頼できるだろうと思っていました」
Uさんいわく、音楽業界では未払いや一方的なギャラの減額などは当たり前のように横行しているという。これまでにUさんも被害に遭ってきたが、今回の相手は1回目の仕事できちんと支払ったため、安心して引き受けたのだ。スタジオを予約して収録したものを編集し、工場でプレスしてCDは完成した。ところが、支払予定日だった2年前の6月末、振り込みはなかった。