閉鎖の危機を乗り越え…中国人女性経営者の保育園ビジネス
I氏が思いついた中国人向けの“ミニ保育園”は好スタートを切った。中国人コミュニティーでたちまち話題になり、1カ月後には20人もの園児が集まったのだ。
だが、突然の中野区役所職員の登場で一転、存続の危機に。
「認可証のない保育施設は違法。閉鎖します」
この保育園「A」は無認可だった。それを知った住民が役所にタレ込んだのだ。
中野区役所保育課の担当者が言う。
「東京都で保育園を開設するには、まず都の福祉保健局で事前説明会に参加し、設置認可の申請書と企画書を提出しなければなりません。また、子供の数に応じた資格を持つ保育士、トイレや調理室、保育園のスペースの確保なども定められています。給食や宿泊を含む場合は、食品衛生法に基づく許可や栄養士・調理師の確保も必要です」
Aは都の基準にひとつも適合していなかった。だが、簡単に諦めるわけにはいかない。保育園は収入のみならず、日本人との間に生まれた子供と2人、この国で生きる基盤でもあった。I氏はひたすら懇願した。