今泉健司さん<2>悪戦苦闘の正社員時代 体重は20キロも減り
26歳で広島県福山市に戻ると、生活のために普通自動車免許を取得。求人雑誌で職探しを始めたが、「中卒の学歴ではマズイ」と思い、通信制高校の授業を受けながら、アルバイトを始めた。
「初めて将棋の本を買った『啓文社』という本屋とレンタルビデオ店が一緒になった店の店員募集広告を見て面接に行きました。明るく大きな声で『何でもやります! 全力でやります! お願いします!!』と頭を下げたら一発OK。初日にお客さまに『いらっしゃいませ!』と挨拶したら、『寿司屋じゃねぇんだ』と怒られました(笑い)。僕、地声が大きいので」
音楽は好きで、音楽CDの扱いにはすぐに慣れたが、映画のビデオはジャンルやタイトルをなかなか覚えられず、客が返却したビデオを棚に戻すにもひと苦労。それでも同僚にかわいがられて週5日働いた。
「地元の将棋クラブの道場からは、『経験を生かして講師をしませんか』と声をかけていただきました。僕の将棋の経歴には価値がないと思っていただけに、僕を認めてくれた言葉に心を動かされ、週2回講師をしました」