中高年の9割が「うちに限って相続争いはない」のカン違い
まだまだ甘い人が多い。不動産比較サイト「リビンマッチ」が不動産を所有(65%が自宅)する50歳以上男女にアンケートしたところ、約3割が「生前に売却」を検討している。遺産として残したら残したで「相続争い」が懸念されるが、「うちに限って」という人が9割近くに達した。
「なぜ相続争いをしないのかと思う理由をたずねると、最も多かったのが『そこまでの資産がない』の50.7%でした」(「リビンマッチ」を運営するリビン・テクノロジーズ広報担当者)
その考えは、甘い。相続争いは、その金額が少ないほど多くなる。司法統計年報によると、遺産分割裁判になった金額は、「1000万円以下」が32%、「1000万~5000万円」が44%。多くの人が「争うほどの資産にはならない」と思っている自宅こそが、家族の分割を進めるのだ。
では、実際の中古一戸建ての相場はどうなっているのか。ホームズ調査によると、中古一戸建ての平均価格(建物面積100平方メートル換算)は、東京の世田谷区で6703万円、杉並区で6375万円、板橋区4398万円。神奈川県は横浜市青葉区4134万円、川崎市川崎区3754万円。大阪市は福島区3567万円、天王寺区3742万円といった具合。
自宅しか持っていない人のほとんどは、相続裁判が集中する金額内になる。やはり、生前に売却した方が正しいかもしれない。