エードット伊達晃洋社長 藤田晋さんの本で気づかされた
2012年、親友の仲亀敦と2人、渋谷区宇田川町の間借りマンションの一室からスタートした。殺風景な室内にはテーブルが2台のみ。そこで2人は「人生って、もっと楽しいものだ」と語り合っていた。
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渋谷の松涛にある本社ビルを訪ねると、さわやかな笑顔で名刺を差し出した伊達晃洋さん(35)。取材と知った女性社員が「どうしたの? いつもより(格好が)ちゃんとしてるね」と冷やかしながら仕事のため外出していった。この一言がエードットという会社のカラーを物語っている。
同社は、広告やブランディング戦略を手がけ、SNSの口コミを駆使したマーケティングで業績を拡大。一般に馴染みの深いところでは、ローソンの「悪魔のおにぎり」のパッケージを担当した会社というと分かりいい。今年3月にマザーズに上場。上場したての会社は寝る間も惜しむほど忙しいものだが、社員はみな、ハツラツとしている。
「実家は島根の写真屋です。私は3人きょうだいの末っ子で、高校を卒業したら進学するつもりでしたが、父から『進学させる余裕がなくなった』と告げられ、東京でフリーターになりました。いくつかのアルバイトを掛け持ちして多い月で15万円くらい収入があった。食べるには困らないが、20歳ぐらいの時に周囲を見渡すと、大学に進学した同級生たちがキラキラ見えたのです。このままでは社会に取り残されるような疎外感がわき、ようやく広告の会社に就職しました」