部下との関係が不安…在宅勤務で試される上司の“信頼残高”
大手企業では、テレワークが働き方の柱になりそうだ。日立は7月まで国内従業員3万3000人のうち7割をテレワークとする方針を発表。来年4月以降も5割を維持するという。そんな中、IT大手の一角GMOインターネットグループは、1月末から続けていた全社テレワークを縮小。出社する人数を3割から順次増やしていくと報じられた。出社割合を増やすのは対面でのコミュニケーションを重ね、信頼関係を構築するためだそうだ。テレワークでの信頼関係に欠かせないものは?
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グーグルで「テレワーク サボる」を検索すると、約11万件がヒットする。その検索結果を見ていくと、テレワークの導入をサポートするツールがいくつもある。たとえば、勤怠管理のツールだと、上司が管理画面にログインすると、部下の名前とともにやっている仕事の中身と「勤務中」「勤務終了」、さらには「勤務外」が表示される。就業中なのに、「勤務外」が表示されると、上司は部下のサボリを見抜ける仕組みだ。報告書も目立つ。テレワークの部下が、上司にその日にやった仕事を報告するものだ。
怖いのは、スクリーンショット。サポートツールに指定された時間ごとに、部下が見ている画面のスクリーンショットが撮られ、上司のPCに定期的に送られる仕組み。もちろん、部下はそんなことをされているとは知らない。サボリチェックのための“盗撮”だから怖い。
カレンダーを共有して部署内メンバーのスケジュールを把握したり、共有ストレージなどでいろいろな仕事のファイルを部内でチェックできたりするのはありふれた共有ツールだろうが、目的はサボリ防止とはいえ、“監視カメラ”のような仕組みも数多く広がっているのだ。
働き方改革総研代表の新田龍氏が言う。
「テレワーク導入の議論では決まって、サボリ論争がついて回ります。そういう企業は、性悪説が前提。日報や特別な取り組みを義務づけたり、監視ツールを導入したりするのです。そんな会社だと、上司は部下を信頼せず、部下は上司を信頼しません」
新田氏によれば、テレワークで信頼関係を構築できない条件は5つ。上司と部下の双方が信頼しない2つに加え、①マネジメントが性悪説前提、②テレワークが“福利厚生の一環”として特別扱い、③信頼できないような人しか採用できない、の3つだ。当たり前といえば当たり前だが、それぞれ逆をやれば、信頼関係を構築しやすくなるということだ。