都内30店舗「ティーケーエス」社長・斎藤浩司さんの巻<1>
餃子の店 三幸園(東京・神保町)
格安の中華や餃子を売りにするチェーン店が続々と増えていて、餃子は今まで以上に手軽に食べられるようになっています。でも、そういうところは安いだけあって、冷凍だし、値段なりの味。特別おいしいとは思いません。
その点、ここは違います。「餃子の店」とわざわざ銘打つだけに、餃子がとにかくおいしい。
焼き餃子(540円)は、焦げ目がついている面はパリッとしていて、逆側はもっちり。やや厚めの皮で、初めて食べたときはまずその食感に驚きました。
うわさによると、長年の付き合いのある製麺店に特注しているとか。そういわれると、納得でしょう。
噛みしめると、ジュワッと肉汁があふれ、豚のウマ味やキャベツの甘味が折り重なって、とってもジューシー。ニンニクとニラの香りも絶妙で、とてもバランスのいい餃子です。
ホッとする味
最近は餡にたっぷりと味を乗せ、さらにニンニクも利かせるなど、専門店ではパンチのある餃子が目につきます。こちらの餃子は、そういう強烈なタイプではなく、ホッとする味です。
悪くいえば、万人受けして個性がないのでしょうが、でもそういう優しい味だからこそ、何度食べても飽きがこない。それどころか、ふとしたときに何度でも食べたくなるのです。多い日は1日に2000個以上出るのは、そんな素朴な味だからこそでしょう。
1階のカウンターの奥が厨房で、大きなボウルには餡がたっぷりと盛られていて、職人サンが包んでは焼き、焼いては包んでいきます。常に出来たて、焼きたてをいただけるからおいしい。格安チェーン店には、求められない職人魂です。
スープに浸った水餃子(540円)もプリップリで、焼き餃子との食感の違いが印象的で外せません。
焼き餃子も水餃子もとことん楽しむ
焼き餃子も水餃子も1人前6個で、見た目にやや大きく見えても、餡が軽いので男性なら両方オーダーしてもペロリでしょう。2人で半分ずつなんてみみっちいことはいわず、それぞれ人数分頼んで、とことん餃子を楽しむ。「ウマい餃子を食べに行こう」と声を大にして誘える店は、そうありません。
夜中の2時半まで営業しているので、営業を終えて社員と一緒に反省会をするのにもちょうどよく、とても重宝しています。そんなときも、基本は餃子で、春巻き(720円)を含めて点心が中心です。僕にとって、東京の餃子ランキング東の横綱ですね。
(取材協力・キイストン)
■餃子の店 三幸園
東京都千代田区神田神保町1―13
℡03・3291・8186
▽ティーケーエス
沖縄料理屋「なんくるないさ」や寿司屋「まぐろ人」、大衆居酒屋「なんで、や」など都内を中心に約30店舗を運営。来年、創業30周年。
▽さいとう・こうじ
ティーケーエス社長。「街に人に愛される」をモットーに、常に店舗を回りながら現場に立つ。