著者のコラム一覧
柏耕一

出版社勤務後、編集プロダクションを設立し、出版編集・ライター業に従事。ワケあって数年前から交通誘導員として働きはじめる。その実体験をもとに悲哀あふれる筆致でつづった「交通誘導員ヨレヨレ日記」(発行・三五館シンシャ、発売・フォレスト出版)がベストセラーに。著書に「岡本太郎 爆発する言葉」(さくら舎)ほか。現在は交通誘導員卒業を模索中。

2500万円の税金滞納。以来、坂道を転がるように…

公開日: 更新日:

 ところが放漫経営や骨董趣味もさることながら、50歳を過ぎてはじめた競馬にとんでもないカネをつぎ込んだことが命取りになってしまった。せいぜい社員1人を使うような会社なので自分のカネと会社のカネの見境をなくした結果、法人税や所得税の滞納が重なって会社の銀行口座を何度も差し押さえられる羽目になった。

 ある時などは朝9時半ごろ銀行へ預金を下ろしに行ったところ、人のよさそうな支店長が出てきて「朝一番に税務署の方が見えて差し押さえていきました」と気の毒そうに言うではないか。その日に入金した四百二十数万円、すべて引き出せない。

 すぐ税務署に連絡したが、電話でラチがあく話ではない。税務署に出向いて担当者と交渉することとなった。「みんな差し押さえられたら、こちらの生活費も手伝ってもらったライターに支払うカネもありません。全部とは言いません。一部戻してください」と哀訴するしかない。苦虫をかみつぶすような顔をしていた署員だが、可哀想に思ったのか2週間後170万円ほど戻ってきた。

■残されていたのは交通誘導員という選択だけ

最新のライフ記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    立花孝志容疑者を"担ぎ出した"とやり玉に…中田敦彦、ホリエモン、太田光のスタンスと逃げ腰に批判殺到

  2. 2

    阪神・佐藤輝明にライバル球団は戦々恐々…甲子園でのGG初受賞にこれだけの価値

  3. 3

    FNS歌謡祭“アイドルフェス化”の是非…FRUITS ZIPPER、CANDY TUNE登場も「特別感」はナゼなくなった?

  4. 4

    阪神異例人事「和田元監督がヘッド就任」の舞台裏…藤川監督はコーチ陣に不満を募らせていた

  5. 5

    新米売れず、ささやかれる年末の米価暴落…コメ卸最大手トップが異例言及の波紋

  1. 6

    兵庫県・斎藤元彦知事らを待ち受ける検察審の壁…嫌疑不十分で不起訴も「一件落着」にはまだ早い

  2. 7

    カズレーザーは埼玉県立熊谷高校、二階堂ふみは都立八潮高校からそれぞれ同志社と慶応に進学

  3. 8

    日本の刑事裁判では被告人の尊厳が守られていない

  4. 9

    1試合で「勝利」と「セーブ」を同時達成 プロ野球でたった1度きり、永遠に破られない怪記録

  5. 10

    加速する「黒字リストラ」…早期・希望退職6年ぶり高水準、人手不足でも関係なし