早期退職の応募前にチェックしたい13項目 昨年比2倍の実施

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 新型コロナウイルスの余波でリストラを進める企業が相次いでいる。セガサミーは、グループ従業員の1割弱にあたる650人の希望退職を募集。青山商事も全社員の1割にあたる約400人の希望退職を募っている。LIXILの募集は、何と1200人に上る。

 東京商工リサーチによれば、上場企業で早期・希望退職を募ったのは10月29日時点で72社。昨年通年の35社の2倍以上で、募集数も昨年通年から2744人増の1万4095人だ。「来年も高水準で推移する」と分析しているだけに、他人事ではないだろう。では、早期退職に応募すると、どんなことになるのか。働き方改革総研の新田龍代表に聞いた。

  ◇  ◇  ◇

Q.応募条件に当てはまらない。応募できる?

 早期退職を募る企業は年齢や勤続年数、部署などで条件をつけるのが一般的だ。

「条件に当てはまらないのに応募したい人は、上司や人事に相談して了承が得られれば、応募できるケースもあります」

Q.条件に当てはまるが、会社の承諾が得られない

「ズバリ、その人が優秀で、会社が手放したくないのです。一般に希望退職を告知しても、『業務上必要不可欠な人材については対象外とする』という条件が付くことが多く、残したい社員には水面下で引き留め交渉が行われます」

 それでも辞めたければ会社は退職そのものを拒否できないが、会社から「退職することは仕方ないが、希望退職の割増金は払えない」と嫌がらせを受けることもあるそうだ。

Q.「最大◎カ月分」の割増退職金は交渉で提示額を上げられるか?

「早期退職に伴う優遇条件(規定の退職金とは別の割増退職金、もしくは特別手当等)は、あくまでも企業側が独自に決めるもので、優遇条件を付与するかどうかという段階から企業の判断によります。全員が等しく得られるわけでも、従業員の求めで増額されるものでもありません」

 一般に割増額は在籍年数によって変わる。中小企業だと、勤続10年で5~6カ月、15年で10カ月、20年で12カ月、30年で20カ月ほど。50歳以上の管理職を対象とした三菱ケミカルは、最大50カ月の割増退職金を用意したが、これほどの厚遇はレアケースだ。

「割増退職金があるだけ恵まれているという認識に立つことが大切で、もし辞めたいときに割増金があるなら、すぐに応募するといい。割増退職金は初回に提示される割増率が概してもっともよくて、2回目以降は下がりやすいのです」

Q.金銭のほかに交渉するメリットはあるか?

 日系企業に勤める人は、交渉せずに会社の提示を受け入れるケースがほとんどだが、外資系企業の人はそうではないという。

「たとえば『あと○カ月勤務すれば勤続15年目になり、割増分が加算される。△月になったらすぐ自主退職するから、○カ月だけ在籍させてくれ』『転職活動時に在籍中のほうが有利なので、オフィスは◇月で去って備品も返却するが、籍だけは□月まで勤務したことにさせてくれ』などといった内容です」

 後で解説する再就職支援サービスを受けず、自分で新天地を探す人がこのような交渉をするという。

Q.退職金や割り増し分などの受け取りは一括か、分割か。銀行口座を複数に分けることは?

「就業規則や退職金規定次第で、『退職金は分割して支給する』旨の規定があれば、分割払いや口座を分けての受け取りも可能です。ただし、『退職の日から1カ月以内にその半額を、6カ月後に残りの半額を支給』などと分割の回数や支払い時期などについても具体的な規定があれば、従業員の希望通りに分割できるとは限りません」

 その規定がないと、分割などは基本的に難しいという。

Q.会社は優遇条件を付けるといいながら、具体的な条件を提示しないときはどうする?

「具体的な条件を文書で明示するよう会社に要求すべきです。それでも示されなければ、『具体的な条件が示されない限り、退職届は出せない』と交渉するといい」

次の仕事のサポートは?

Q.再就職支援サービスの中身は?

「おおむね一般的な人材会社のキャリアコンサルティング面談と同じです。早期退職した人の経験をヒアリングし、職務経歴とスキルの棚卸しをするのがひとつ。それをベースに今後の働き方とライフプランに合わせ、求人情報の紹介と転職活動のサポートが行われるのです。履歴書や職務経歴書の作成指導や添削、面接練習なども受けられます」

Q.再就職支援では事務所も使える?

 前述のサービスは、通常の人材紹介サービスと同じ。再就職支援サービスならではのメニューもあるという。

「『適性診断テストなどによる客観的な強み分析』『同じ再就職支援を受ける人同士が集まったグループ研修』『各種資格取得や語学、ビジネススキルなどのメニューが受講できるEラーニング』『専門のカウンセラーが対応するメンタルヘルスサポート』『本人の経験、スキルと希望条件が合致する求人開拓』『執務スペース提供』などです。執務スペースについては表向き“転職活動用”という建前ですが、家族にリストラを隠すため“出社の体を装う”目的もあります」

 利用者がどのメニューを使えるかは、企業と支援会社の契約内容次第。辞めてから「こんなはずじゃなかった」ということがないよう、事前に確認するのが無難だろう。

Q.どんな企業を紹介してもらえるのか?

「シニアを活用したいというニーズがある企業の求人が中心です。手持ちの求人がほとんどでも、支援会社によってはサポート担当者が求職者の要望に沿う求人企業を開拓してもらえることもあります」

Q.再就職を機に実家に帰りたい。勤務地を変える支援も受けられる?

「都市部の求人だけでなく、地方の工場や農業、林業のほか海外法人の求人までカバーしている支援会社もあります。独立サポートが受けられる会社も存在するので、UターンやIターン、海外転職のサポートも対応可能ですが、会社が契約した支援会社にどこまでやってもらえるかがすべてです」

 求人紹介以降のステップは、通常の中途採用の流れと同じ。支援会社のサポートを受けたからといって、“口利き”してもらえるわけではない。

Q.支援を受けられるのはいつまでか?

「求人情報にアクセスしたり、応募したりする“能動的活動”については無期限、担当コンサルタントのカウンセリングや書類添削といった“受動的活動”は半年~1年などと一定期間で打ち切られることが多い」

 これも会社の契約次第だ。

Q.サポートを受けた場合の再就職成功率は?

「支援会社によっては9割を掲げていますが、実際は真偽不明。“受動的活動”のサポート期限内に再就職できない→本人の能力不足か活動量の不足という理屈で、支援会社側の免責が可能ですから」

Q.支援を受けるにあたって料金を求められることは?

「再就職支援会社のサービスは、すべてリストラした企業との法人契約。求職者が支払いを求められることはありません」  

 ◇  ◇  ◇

 再就職支援会社のサポートがあるとはいえ、ゴールまでお膳立てしてくれるわけではない。早期退職への応募を決めたら、支援サービスをうまく使いながら、なるべく早いうちに自力でゴールを目指すしかないのだ。

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