「コロナが怖い」出社・転職命令はどこまで拒否できる?

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 大都市圏を中心にした2度目の緊急事態宣言下、再度リモートワークに切り替えたサラリーマンも多い。一方で在宅でこなせる仕事なのに出社を強要されたり、東京や大阪への出張・転勤を命じられることもある。コロナを理由に命令を拒否したらどうなる!?

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  ◇  ◇  ◇

①東京や大阪への転勤は拒否できるのか

 佐渡ケ嶽部屋所属の序二段力士は、心疾患の持病があるため、新型コロナウイルスが「怖い」という理由で引退した。元力士は、本場所に出るか辞めるかの選択を迫られたと主張している。

 サラリーマンはどうか。春の異動シーズンだが、コロナで重症化する持病があったり、重症化リスクの高い老親と同居しているといった事情は認められるのか。

「日本企業の多くは職業限定採用をしておらず、サラリーマンの大半は包括的労働契約によって雇用契約されています。会社には業務命令権があり、転勤などの人事異動は会社が握っているので、原則として雇用者は従うことになります。ただし、雇用者も拒否は可能。正当な主張と認められたら、回避できたり、別の業務に携われる可能性はあります。とくに今は異常事態なので、トラブル回避のためにも話し合いの時間は取るべきです」(特定社会保険労務士の稲毛由佳氏)

 特段の事由があれば転勤撤回もあり得るらしいが、「コロナが怖いから」という理由では希望は通らない。

「転勤により、病気の家族の介護・看護が困難となるという具体的な事情があれば、断ることができる可能性はあります。しかし怖いというだけでは、転勤を断る理由としては不十分と思われます」(北千住法律事務所の金湖恒一郎弁護士)

 もっとも、転勤(配置転換)命令は、著しい不利益を負わせる場合は権利乱用として無効となる。「コロナで転勤や出張を断っても、会社はクビにできません」(山口宏弁護士)というから、事情があれば遠慮なく話し合うことが大事だ。力士も個人事業主ではなく、日本相撲協会と雇用契約があるという位置付け(労働契約法が適用されると判断した裁判例が存在)。2択で迫った日本相撲協会はネット上で批判を浴びていたが、番付降格ぐらいが妥当だったのかもしれない。

■答え=事情があればYES/怖いはNO

②「リモートワークをしたい」と出社拒否はできるのか

 デスクワークが中心で、営業先もリモート打ち合わせが主流になった。在宅が可能な業務だが、上司の一存で出勤を命じられたらどうか。

「緊急事態宣言が発令されるなどコロナの感染が拡大している状況で、業務の遂行に影響を与えることなく在宅勤務が可能であるにもかかわらず、会社がコロナ対策を取らずに漫然と出社を求めるような場合、労働契約法5条に定める《安全配慮義務違反》となる可能性があります。出社拒否を理由に労働者に不利益を負わせることは認められないでしょう」(金湖恒一郎弁護士)

「安全配慮義務」とは、労働者が安全と健康を確保しつつ就業するために企業が必要な配慮をする義務のこと。通常はパワハラや過重労働でうつ病などになった場合に企業は「違反」と認定されるが、今はコロナ禍の働き方も対象になる。サラリーマンは、所属部署の上長や総務部、労働組合などにリモートワークを掛け合うことで、法的に不利な立場に追いやられることはない。

■答え=会社が安全配慮しなければYES

③会社から「会食禁止」を通達されたが内緒で行った飲み会でクラスターになったら懲戒?

「会食は一定の懲戒理由になります。ある企業は一切の会食を禁じていましたが、幹部クラスの社員が『取引先の誘いを断れず、少人数だったから』と行ってしまったところ、全員感染しました。その社員は休業手当は出たものの、管理責任を問われて減俸処分になっています。企業側にも『安全配慮義務』がありますから、社員の健康管理をしなければならない。業務に支障が出ることが予見可能な行動は罰則の対象になります。会食は政府も感染リスクの理由に挙げていますし、『知らなかった』とは言えません」(稲毛由佳氏)

 取引先に感染させたら親睦どころか関係性もまずくなる。落ち着くまでは会食はやめるべきだ。

■答え=YES

④コロナに感染したことを内緒にして出勤したらこれも懲戒?

 同居家族や直前に会った友人が感染した。濃厚接触者になったり、体調が悪いのに出社をしていたところ、発症しバレてしまった……。

「社員には報告義務があります。怠れば当然、懲戒処分の対象になります。感染者が出社すれば、周囲の社員の健康に害が及ぶことは常識として理解できますから、言い訳することはできません。ただし、保健所が発症前後の行動などを聞き取る『積極的疫学調査』のように、会社に詳細を伝える必要はありません。嘘はつけませんが、誰と何をしたかを話さなくても、会社から罰則を受けることはありません。会社としては、社内感染があるかを知りたいので、発症前に出社した日はいつか、誰がいたかなどは正直に報告しましょう」(稲毛由佳氏)

 減俸では収まらないこともある。

「クラスターが発生し、事務所の閉鎖などがあれば、会社から社員個人に賠償責任を問われる可能性もあります」(稲毛由佳氏)

 感染させた同僚が亡くなったり後遺症があれば、遺族から慰謝料を請求されるリスクがあることも知っておきたい。どちらにしても会社にはいられなくなる。感染したことは責められることではないので、誠実な対応をしたい。

■答え=YES 

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