コロナ禍の新葬儀マナー「連絡ないが通夜は出席すべき?」

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 我が国の死亡者数は年間およそ140万人。突き進む超高齢化社会を反映し、年々増加のグラフをたどっている。そしてコロナ禍にあって変化せざるを得ないのが葬儀の形態やマナーだ。

 ◇  ◇  ◇

「家族だけで静かに見送られたい」「こぢんまりでいいから、ちゃんとした弔いをしてほしい」

 最近、このような葬儀社のテレビCMが増えたと感じている人は多いだろう。年間死亡者数は過去最高を更新中。葬儀社の取扱量も増えているからと思われがちだが、実はそうでもない。

■少人数の「直葬」が一般葬を逆転

 全国の葬儀社と提携する「小さなお葬式」(運営:ユニクエスト)の担当者が業界の苦境をこう代弁する。

「アンケートでは、『コロナで葬儀事業に影響が出ている』という葬儀社は9割を超え、4社に1社は事業継続自体が困難と回答しています。当社の取扱量を見ても、前回の緊急事態宣言下(昨年4、5月)では、式典を省いた直葬が、家族・友人・知人を招いて執り行う一般葬を初めて逆転しました。今回の宣言下でも同様のグラフ推移をたどっています」

 感染防止の観点から葬儀が縮小、簡略化してきているのだ。同社は全国一律料金で家族葬プラン(39万9000円)や一般葬プラン(59万9000円)を取り扱っているが、最近目立ってきているのが「一日葬」(29万9000円)を選ぶケース。通夜を省き、告別式から火葬までを1日で終えるプランだ。

「このほか、親族らが集まり、故人を偲ぶ『一周忌』『三回忌』といった年忌法要も自粛の傾向にあります。今年1月の三回忌法要の依頼件数は前年同月比35%減。四十九日法要も葬儀と一緒に行う流れがあります」(前出のユニクエスト担当者)

 コロナで葬儀がコンパクト化。従来の決まり事やマナーも通用しなくなってきている。

 昨年4月に母を見送った安重千代子氏(国士舘大学講師=ビジネスマナー、医療サービス学)がこう言う。

「私のケースでは、心を鬼にして母の死を周囲にお伝えしませんでした。死去したことが分かれば、善意の気持ちから『せめてお線香だけでも……』と参列を希望する方々もいらっしゃったと思います。そこで感染者を増やしてしまっては申し訳ない。また、高齢を押して遠方から足を運んでくださる人はなおさらです。後日、親族らには電話で謝罪し、母の友人らには自筆の手紙で不義理をおわびしました。普通に葬儀を行った方がよほどラクでしたが、現状を冷静に判断すれば致し方ありません」

 当然ながら、時間差で逝去を知った人たちから香典や線香が届いたという。このケースだと、従来ならば忌明け(仏式は四十九日後など)に香典返しを送るのがマナーとなるが、安重氏はこれも簡素化していいという。「個別に訪問し、感謝の言葉と共に香典返しを送るのがマナーでしたが、今はカタログギフトというものもあります。私が利用した百貨店のカタログギフトは、全てオンラインで申し込めますし、店舗で手続きをすれば手紙を同封することもできます」

 法要も簡素化できる。一周忌は故人の祥月命日(亡くなって満1年)に行うものだが、時期を前倒ししても問題はない。緊急事態宣言が解除されたタイミングで、子供の学校などの都合を考慮し会食などを避けつつ行うとよいだろう。

死因を聞くのは非常識

 一方、参列する側も融通を利かせたい。

「故人を見送る側も、『連絡は来なかったけど、通夜ぐらいは出た方がいいかしら?』『電話でお悔やみを伝えた方がいい』と悩むこともあるかと思います。ですが、『そっとする』のが新しいマナーとなります。コロナ感染による死亡の可能性もありますので、死因についても聞く必要はありません。相手が言わなければ、知っててもこちらからは聞かないようにする。それが思いやりになります」(前出の安重氏)

 社葬のような大規模式典も今はあえて行う必要はない。著名人の慰霊祭などによく使われる青山葬儀所の予約状況を見ても、2月は全日程で“空き”がある。

■コロナ死者の火葬枠を増やしても追いつかず

 では、一般人が利用する葬儀所や火葬場の空き状況はどうなっているのか?

 東京都が運営する「瑞江葬儀所」は20基の火葬炉がフル回転中だ。コロナ感染者の火葬枠を1日5枠から2倍の10枠に増やして対応しているが、感染防止などの観点からこれ以上は急に枠を増やすことが難しい。

 横浜市営の斎場も厳しい状況は同じだ。

「久保山、南部、戸塚、北部の市営4斎場のうち、コロナのご遺体を扱っているのは久保山と南部の2カ所のみです。1日の枠は最大6人までとなります」(横浜市健康福祉局の担当者)

 すでにコロナ感染死者数がその6枠を上回る日も出ている。遺体が集中すれば、火葬の順番待ちは必至で、市営斎場側としても基本的に休みとなっている祝日や友引日の臨時開場も考えないといけなくなる。

 都内では民間斎場もコロナ対応をしているが、最大手・東京博善の町屋、四ツ木、桐ケ谷、落合、代々幡、堀ノ内の6斎場のうち、コロナ感染者の火葬を受け入れているのは落合斎場の1カ所のみ。その際は、霊安室や待合室の使用は不可となっている。そのため今は、都内でコロナ感染死亡者が多かった場合、千葉県の浦安市斎場に頼んで火葬してもらっている状況だ。

 また、東京博善は通常死亡者の利用でも、緊急事態宣言下では式場や火葬の来場者は10人程度に制限している。さらに1月から最も利用の多い「最上等」の火葬料金を5万9000円から7万5000円に値上げ。燃料費や人件費の高騰に加え、葬儀の簡素化による収益率の悪化などが理由だという。

 いずれにせよ、火葬場に親族や友人、会社の同僚たちが大勢集まって故人を見送るという光景はしばらくなくなるかもしれない。

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