くまモンは熊本県を救えるか 売上高1兆円間近も“収入ゼロ”

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 九州新幹線全線開業をきっかけに2010年に誕生した、熊本県のPRマスコットキャラクター、くまモン。昨年までの関連グッズの累計売上高が9891億円になり、1兆円まであとわずかのところまできた。

 2020年の売上高は1698億円で、9年連続で過去最高を更新。昨年は新型コロナの影響でマスクやフェースガートなどの商品が押し上げた。1兆円といえば、大手広告代理店、電通グループの年間売上高とほぼ同じだ。

 だが今のところ、くまモングッズがいくら売れても、県には1円も入っていない。

「国内に関しては、許可が下りれば個人、法人問わずロイヤリティーフリーになっています。海外については2018年からロイヤリティーをとっており、昨年の海外のグッズ売り上げは64億円ほどありましたが(ロイヤリティー料率は非公開)、収入自体はまだ入っていません」(熊本県知事公室くまモングループ、以下同)

 海外展開は中国、台湾、タイなどのアジア圏がメインで、グッズによる実収入はこれからだという。

中国での海賊版対策に苦慮

 くまモンの絶大なPR効果で、これまで県の認知、国内外からの旅行客増加に多大な貢献をしてきた。しかし、旅行客はコロナ禍で大幅に減少し、県内経済に打撃を与えている。

 現在、少子高齢化、社会保障関連費の増大等で地方財政は悪化の一途をたどり、慢性的な財源不足に悩まされいる。19年度の借入金残高は189兆円で2001年からほぼ横ばい状態が続く。熊本県も、16年の熊本地震や20年の豪雨災害の復旧費用などがかさみ、財政状況が逼迫しているのは他県と同じだ。今後、海外だけでなく国内からもロイヤリティーを取る予定はないのか。

「知事の方針でもありますが、ロイヤリティーフリーにしたことで商品展開が増えて、認知度が上がっていった側面が大きいため、国内ではこれからもロイヤリティーフリーを継続していきます。今後は海外展開にあたって、アジア圏以外にどう広げていくかが課題です」

 蒲島郁夫知事は9日の会見で「(コロナ収束後に)より国際的にくまモンに活躍してもらいたい」と、今後の海外展開に期待を寄せている。世界的にくまモン人気は高まっているが、海外でのグッズ売り上げは全体の4%弱とまだまだ伸びシロがありそうだ。だが、目下、苦慮しているのが中国で発生している海賊版対策とのこと。

「現在、誕生祭などのイベントが実施できないため、またいずれ国内外から来ていただけるように、くまモンが熊本の良さをSNSや動画で発信しています」

 たびたび噂される親や兄弟といった派生キャラの誕生については、本人に聞かないとわからないとのこと。どの自治体もこんな孝行息子が欲しいところだろう。

(取材・文=伊藤洋次/日刊ゲンダイ)

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