看護師“日雇い派遣”の怪しい規制改革 スーパーナース直撃

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 コロナ禍で看護師不足が深刻化する中、今月から解禁された看護師の「日雇い派遣」。人手不足解消として歓迎される一方、安全面のリスクや進まない処遇改善など、賛否両論だ。導入には慎重な議論が必要だったのに、モリカケと同じ「結論ありき」のプロセスが疑われる。

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 日雇い派遣は一部の業務を除いて原則禁止。コロナ禍での医療従事者の人手不足を解消するため、厚労省は政令を改正し、地方の医療機関や社会福祉施設などへの派遣を認めた。

 いわば「特例」だが、そもそも議論が本格化したのは2018年。内閣府が同年5月に「規制改革ホットライン」で「看護師の短期派遣」に関する要望を受け付けたのがキッカケだ。

 不思議なのは、その要望を出したのが、18年7月に設立されたNPO法人「日本派遣看護師協会」であること。なぜか、設立2カ月前の段階で提案しているのだ。

 問題はこれだけじゃない。国会では連日、立憲民主党の議員が追及。「日本派遣看護師協会」が定款の所在地に存在しないことや、公告が義務付けられている貸借対照表すら公表していないことを明らかにした。

 同協会に事実関係を確認するため、21日夕方、何度も電話で問い合わせたが、不在を告げる留守電が繰り返されただけだった。

 実態不明の団体が規制改革の主体事業である上、利益誘導も疑われる。

 21日の衆院厚労委員会で立憲民主の川内博史議員が「(協会の)ホームページに協力会社として『スーパーナース』が記載されている」と指摘。同社はまさに看護師の派遣業務を担っており、ナント、取締役の滝口進氏は13年から16年まで規制改革会議の専門委員を務めていた。つまり、規制改革のメンバーだった人物の関係団体が内閣府に看護師の日雇い派遣を「お願い」し、実現した格好なのだ。

特定の事業者に利益誘導の疑惑

 川内博史議員に改めて聞いた。

「規制改革という『錦の御旗』を隠れみのに、特定の事業者に利益誘導した疑いが拭えません。何もヤマしいことがないなら、政府はあらゆる情報を開示して説明責任を果たすべきなのに、日雇い派遣に関するメモも議事概要も黒塗り。後ろめたさの証左です。『日本派遣看護師協会』からヒアリングを受けることが規制改革推進会議で正式決定される前に、厚労省に同ヒアリングの案内が届くという、おかしなことまで起きている。モリカケのように、安倍政権のネポティズム(縁故主義)が招いた“出来レース”と批判されても仕方ありません」

 スーパーナースに、同協会との関係や利益誘導の疑惑について問い合わせると、渦中の滝口氏が取材に応じた。

 ――国会で利益誘導の疑いが問われている。

 これまでの国会議論を拝聴していますが、我々に手続き上、大きな瑕疵があるわけではないし、出てきた文書が黒塗りだから隠したいことがあるんじゃないかなど、推測の域を出ません。規制改革推進会議の専門委員を務めていましたが、誰かに働きかけたこともなく、意思決定にも関与していません。

 ――実態不明のNPO法人との関係は?

 法人登録時に、一定数の理事が必要とのことで、社員を頭数として貸し出しました。また、日雇い派遣についてレクチャーをするなど、設立をサポートしたのは事実です。理事長を含めスタッフはボランティアのため、事務所は最小限の形で運営していると聞いています。

 ――わざわざNPO法人を使って、提案したのはなぜ?

 規制改革会議に入って初めて、規制改革ホットラインについて知りました。看護師の日雇い派遣について提案しようと事務局に相談したら、規制改革会議メンバーで看護師派遣の会社の責任者がそうするのは、議論を巻き起こすので好ましくない、と。規制改革会議が刷新された後、企業として提案するのも一つの手だと思いましたが、当事者であるNPO法人から提案した方が、議論が進みやすいだろうと考え、我々は手を引きました。

 ――自己の利益のためではないか?

 規制緩和によってスーパーナースだけが利益を得るなら問題です。しかし、他にも企業提案はありますし、全国の派遣業者が看護師を派遣できるようになる。全体としての規制緩和なので、利益誘導ではありません。

 ――全く問題はない、と?

 コロナ禍の看護師不足で、日雇い派遣が駆け足で決まってしまった感があります。派遣の是非をもっと規制会議で議論して欲しかったし、内閣府にもきちんと資料を出して認可の経緯を説明して欲しい。木で鼻を括った答弁や黒塗りの資料では、いかにも怪しいと思われてしまいます。

 安倍政権から続く「行政の私物化」疑惑。政府は説明責任を果たしたらどうか。

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