マネー教育は子供に有効?キッズマネースクール代表に聞く

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 電子マネーの普及で、お釣りを知らない子供が増えているそうな。そのうち現金なぞ見たこともないという世代が現れそう。果たして子や孫にお金のありがたさをどう教えればいいのか。一般社団法人「日本こどもの生き抜く力育成協会」代表理事で、子供にお金の大切さを教える「キッズマネースクール」代表の三浦康司さんに、「マネー教育」の最新事情を聴いた。

  ◇  ◇  ◇

■お金は汚いもの?

「そもそも日本人は、小さい頃にお金について学ぶ機会がありません。そのためお金は汚いというネガティブなイメージを植え付けられたまま大人になってしまいます。そんなことで将来、世界を相手に渡り合っていけるのか、ひとりの親としても心配です」

 開口一番こう訴える三浦さん。海外のマネー教育の実態を調査・視察し、小学生の時から投資を学ばせているイギリスの例などを知るにつけ、「日本のマネー教育は遅れている」と痛感。一石を投じたいと、7年前の2014年8月に「キッズマネースクール」を立ち上げた。

 三浦さんの本職はフィナンシャルプランナー。現在20歳と18歳の2人の娘には、小さい頃から独自のマネー教育を施してきたという。

「上の子が5歳、下の子が3歳の時にお小遣いをあげ始めました。報酬制で、例えば風呂掃除をしたら20円、モップで床掃除をしたら10円といったふうに渡しました。お金は仕事の対価であると教えたかったからです」

 成長するに従い買いたい物の額も上がり、いくら欲しいという自己主張も出てくる。報酬交渉も学びのチャンスだったと三浦さんは言う。

「高校生になってからは定額制にし、金額を上げてほしければ提案書を持ってこいと言いました。その提案書に基づいて交渉を重ねるのです」

年利12%「パパ銀行」への娘の反応

 さらにユニークなのは「パパ銀行」。お小遣いを三浦さんに預ければ、1年後に年率12%の利子がついて戻ってくる。

 面白かったのが次女の反応だ。すぐさまメリットを理解し、お小遣いのほとんどを三浦さんに預けるようになったという。さらには――。

「『年利ということは1年1回しか増えないの?』『それはいつ増えるの?』と聞くので12月31日だと答えたら、12月30日に妻から1万円を借りて私に預け、1月3日に1万1200円を引き出して妻に1万200円を返していました。たった4日で1000円稼いだのです。厳密には、年利は1年間に預けた期間によるので、12月30日に預けたものが31日に12%の利息がつくことはないのですが、子供たちに複利の仕組みを理解してもらいたくて特別ルールとしました。それにしても、子供の発想は柔軟だと思いましたね」

 さらには年利ではなく「月利にしてくれ」と言ってきたという。月利の複利の方が1年後の利息がより大きくなるからだ。

 ちなみに、三浦家のお小遣いの額は小2の時で3500円。ただし3000円は書道教室の月謝だ。習い事一つにもお金がかかっていることを知って欲しかったからだ。

「あげた以上は本人のお金なので、使い方については一切口を出しませんでした。たまに変な物を買って後悔していましたが、それも経験。失敗しても子供のお小遣いの額など、たかが知れていますからね」 

「ありがとう」を交換する

 そうした三浦家のマネー教育の経験を顧客に話したところ、「ぜひうちの子にも教えて欲しい」と頼まれたことも、キッズマネースクール設立の理由のひとつ。

 キッズマネースクールは「4~10歳」「7~12歳」「9歳~15歳」の3つのクラスに分かれて行われる。

 最低学年のクラスで行われるのは「おみせやさんごっこ」だ。ただし普通のごっこ遊びではない。

「ミッションを2つ出します。ひとつは早く売り切れにすること、もうひとつはお金を増やすこと。そのためにはどうすれば良いか、子供たちに問いかけながら進めます」

 例えば、商品をきれいに色塗りする方が良いか、しない方が良いか?陳列はきちんとした方が良いか、しない方が良いか? 商品数は多い方が良いか、少ない方が良いか? といった具合だ。

「楽しいだけでなく、お金を稼ぐという負荷をかけるのがポイント。それが売り切った時の達成感となり、仕事への憧れ、つまりキャリア教育に通じると思うからです」

 小学生以上になると、童話の「白雪姫と七人の小人」をモチーフに通貨や為替についても学ばせる。わがままな白雪姫に頼まれてアメリカにピザを買いに行った小人は、日本の1000円札を出しても買えない。なぜなら日本とアメリカでは通貨や為替レートが違うからという筋書きだ。

 電子マネー教育に使うモチーフは浦島太郎だ。竜宮城から玉手箱ではなくクレジットカードをお土産にもらった浦島太郎はコンビニで買い物をする。“シャリーン”と鳴らせば何でも買える打ち出の小づちのようだが……。こうした子供の興味を引き立てるロールプレーを通し、楽しみながらお金について学ばせるのだ。

「伝えたいのは、お金は汚いものではなく〈ありがとう〉を交換する良い物だということ。お金を稼ぐのが大変だと分かれば大事に使うし、物を買った時も自然と感謝の気持ちが生まれるはずだからです。親御さんからは『子供がレストランで食事をした後にお礼を言うようになった』などの喜びの声を多くいただいています」

 現在、キッズマネースクール認定講師は全国に500人。多くがフィナンシャルプランナーなどお金のプロだが、我が子らに教えたい父母のために今年2月から「パパママ講師」も新設した。

 三浦さんはこう言う。

「スクールで教えられる時間はわずか。子供と一緒に暮らす親御さんにこそ、正しくお金と向き合って欲しいですね」

 親子で学んでみますか!

※「キッズマネースクール」について詳しくは公式サイト https://kids-money.com/ または、一般社団法人「日本こどもの生き抜く力育成協会」 ℡050・6868・2705 

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