真夏の「迷惑五輪」“立ち入り禁止”続出、ババ引くエリアは

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 読売新聞の6月4~6日に行った五輪についての世論調査で「開催する」が50%となり、48%の「中止」を初めて上回った。3月まではあった「再延期」の選択項目を削ってまで世論を誘導したい五輪オフィシャルパートナー読売の必死さが伝わってきて、むしろ物悲しくもある。いよいよ五輪の聖火が町にやってくるが、これから都民の行動がかなり制限されることも覚えておきたい。

  ◇  ◇  ◇

 2013年の招致段階で五輪賛成派は47%。最後まで招致を争ったマドリードの78%、イスタンブールの73%に大きく引き離されていた。

 もともと五輪をやりたかった人は半分ほど。キャスターの久米宏氏が4年前の日刊ゲンダイのインタビューで「しょせんオリンピックはゼネコンのお祭り。つまり利権の巣窟」と危惧していたが、現実はその通りとなっている。

■江東区民は「ゴミ戦争」以来のババ

 そんな中でも五輪に対し好意的だったのが、競技会場がひしめく江東区民。オリンピック12競技、パラリンピック8競技が実施されるとあって、当時、東京商工会議所江東支部が区民にアンケートをしたところ、実に93%が招致に賛成だった。その理由として51%の人が「経済効果・雇用創出が期待できる」を挙げていた。

 実際は、外国人客の受け入れを中止した時点で地元商店街やホテルは大きくアテが外れてしまっている。時期をズラさなければ開催できた可能性もある今夏の花火大会も中止。だが、デメリットはこれだけではない。これから始まる交通規制や公園の閉鎖などで普段の生活も制限されるのだ。場所は貸しているのにおいしいところは少ない。ある江東区民は「ハエの大量発生で難儀した東京ゴミ戦争以来のババを引いてしまった」と嘆く。

交通規制で宅配便が遅配

 まずは交通規制。すでに8日から国立競技場の東側道路や神宮外苑いちょう並木などで交通規制が始まっているが、オリンピックスタジアム周辺だけでなく、晴海・勝どき地区(6月23日~)、有明・台場地区(7月19日~)など競技会場周辺のあちこちで規制がかけられる。

 具体的には「進入禁止エリア」(自転車通行も不可)、「通行規制エリア」(警備員が誘導、自動車通行は不可)、「迂回エリア」が設けられる。規制エリア内に居住する人は進入が許可されるが、宅配ドライバーのような商用車は原則規制されるため(通り抜け禁止)、場合によっては配達時間の指定ができず、荷物の遅配も予想される。お台場に買い物に来ただけなのに、テロ対策もあって検問に引っかかる車両も増えそうだ。

 さらに首都高速の料金に1000円が上乗せされる。渋滞緩和策の一環で、期間は7月19日~8月9日と8月24日~9月5日の6時から22時。首都高を利用するマイカーなどが対象だ。代わりに夜間(0時から4時)は5割引き(ETC搭載車のみ)となる。

■渋滞緩和を理由に首都高1000円上乗せ

 五輪期間中は子どもの夏休みとも重なるし、東京脱出を考えている人もいるだろうが、板橋本町から空港中央(羽田)まではETC料金1090円に1000円を上乗せ、2090円になる。「無観客、あるいは観客制限によって渋滞が起きないことも予想されますが、その場合は要請先の都と組織委員会の判断で1000円
を上乗せをするかが決まると思われます。現時点ではそういう話は来ていません。また、一部閉鎖される出入り口もございますが、7月に入るころには詳細を発表できると思います」(首都高速道路・広報担当者)

 1000円の料金上乗せは周知が徹底されているとはいえず、混乱が起きる可能性もある。

「大会期間中は道路工事が全面休止されます。そのためオリンピックが終わった途端、都内の道路はどこもかしこも工事中となるでしょう」(都庁関係者)

 ホームレスの排除も始まる。2016年リオデジャネイロ五輪では、市警察によるスラム地区の住人の排除で多くのケガ人まで出たが、不都合な真実は海外メディアに見せたくないのはどの国も同じ。自治体によるホームレスの施設一時収容などが行われている。

閑散とする吉原

 記者が上野公園周辺を歩いてみたところ、路上生活者とおぼしき人は数人のみ。コロナ感染予防を名目にして張り巡らされた青色ネットで、段ボールハウスが建てられないようにしてあった。

 不都合な真実といえば風俗産業も同じ。海外から要人が来る大規模イベントのたびに規制が設けられてきたが、今回はどうか。

「通常ならキャンペーンや広告規制などが行われますが、今回は吉原などソープランド街にも警察から自粛要請は入っていないようです。そもそも風俗は接触感染が怖く、景気が悪い。派手になりようもありません」(風俗ジャーナリスト・村上行夫氏)

 パチンコ・パチスロ店の自粛はどうか。特に新台入れ替えには警察官の立ち会いが必要で、2016年5月の伊勢志摩サミットの際は1カ月ほど入れ替えを自粛した。ただし、東京都遊技業協同組合の理事長によると、こちらも今のところ行政側からの自粛要請は来ていないようだ。

「オリンピック期間中は全国から2万1000人の警察官が警備の応援に駆けつけます。その人手不足のため11月30日までとなっていた旧規則パチンコ・パチスロ機の設置期限を来年1月まで延長する決定が行われました」(パチンコ専門誌編集者)

 五輪のためなら多少のルール変更は認められるようだ。ちなみに、五輪警備には五輪オフィシャルパートナーの「セコム」「ALSOK」の1万4000人も加わる。スポンサー料を拠出しても両社には十分なオツリがくるだろう。

憩いの場の公園も閉鎖

 記者が湾岸地区の会場周辺を歩いてみると、普段なら近所の住人の憩いの場となっている辰巳の森海浜公園及びお台場海浜公園の一部で自由に通行ができなくなっていた。マラソンスイミングとトライアスロンの競技会場となるお台場海浜公園は、テレビスタジオ建設のため金網で仕切られている場所も。有明テニスの森は閉鎖中。一般利用が中止されている東京辰巳国際水泳場ともども早く再開して欲しい。

 百歩譲って、やりたい人はやればいいが、五輪に興味がない人から見ればはた迷惑なだけの2カ月。「中止」を望んでいるのは、何もコロナ感染予防の観点ばかりではなさそうだ。

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