石塚集
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石塚集

医学系編集プロダクション経営。医学ライター。東洋美術学校Webグラフィックデザイン/ユーザーエクスペリエンス(UX)講師。株式会社eumoでUIUX/PRを担当。新宿・ゴールデン街の入り口付近の店でバーテンダーもしている。

IT企業を創業上場後、自宅の一部を改築して動物病院を開業

公開日: 更新日:

玉木栄三郎さん(本業=エンジニア、IT企業経営/副業=獣医)

 玉木栄三郎さんは香川県さぬき市出身。東京の麻布大学獣医学部獣医学科を卒業して獣医師免許を取得したが、大学院卒業後は画像処理やビッグデータを専門とするソフトウエアエンジニアとして就業。さらに起業して株式上場までさせたが、40歳になって一転、動物病院を開業した。現在は獣医が副業になっている。

「大学で獣医学を学び、動物病院でインターンもしましたが、特に外科系の治療ではCTやMRIなどの医療機器の発展、特にハードウエアよりソフトウエアの発展が重要だと感じたんです。たとえばCTやMRIの解像度が向上しても人間の目による診断では膨大な時間がかかってしまいます。ソフトウエア技術によって獣医師をサポートすることが重要な時代になってるんです。そのような中、普通に獣医になってもと。それに病院勤務の獣医は最初の給与は月20万円程度ですが、ソフトウエアエンジニア、特に医療系分野ですと月100万円以上もらえることも珍しくないんです。ですので最初はソフトウエアエンジニアに就業しました」

 玉木さんは画像処理の映画用の3Dソフトウエアのプラグイン開発や大手医療機器メーカーのソフトウエア開発などを担当した。技術力と経験を高め、なんと今までに5社以上も会社を立ち上げ、そのうち1社を東証マザーズ(現東証2部)に上場させた。

「経済社会で生きることは達成感もあり、刺激的な世界ではありますが、上場企業の社長となると公的な振る舞いを常に要求されます(私はそれが向いていません)。またIT業界はクライアントから厳しい要求をされることも多く、業種・業態にもよりますが、全体として精神的にあまり健全な世界とは言えません。自分の能力でいつまでも続けるのはしんどいと思うようになり、鎌倉に引っ越したのをきっかけに40歳の時に自宅の一部を改築して動物病院を始めようと決心しました。香川の実家では牛、豚、犬、猫、鶏、鯉などを飼っていて子どもの頃から動物との関わりは大きかったんです。開業してからは動物には癒やされ、飼い主の方には感謝される。そういった世界はITとは別物でした」

 玉木さんは40歳から45歳までを鎌倉動物病院の院長として過ごし、45歳からはエンジニアに復帰。動物病院を副業にした。

「やっと人生のバランスが取れたというか。自分で時間を調節できる生き方になりました。エンジニアに復帰してからは納期や見積もりがシビアなものはやらず、バランスが取れる仕事しか請けなくなりました。動物病院の方も、ほんとに薬代や材料費の実費やお気持ち程度をいただくだけで、月に10万円くらいの収入に落ち着いています」

ペットシッターに意外とニーズあり

 コロナ禍もありペットの需要は伸びている。一般の人でもできそうな動物系の副業を聞いてみた。

「最近はペットの地位が向上していますね。旅行の時にちゃんとペットシッターに預ける人が増えました。うちの病院には、亀、蛇、トカゲ、ウーパールーパーなどを数日預かって欲しいという依頼もあります。私は実費くらいしかとりませんが、ペットシッターであれば、1日数千円になると思います。また私は最近、ペットとして人気のあるフクロウを治療するための研究目的で飼っているのですが、生殖チャンスが年に1回から3回と少ないんです。品種によっては100万円以上する個体もいます。自分が好きで飼っていれば、研究貢献に加えブリーダーになるチャンスもあると思います」

 筆者はクランウェルツノガエルというカエルを飼っているが、家を1カ月間留守にするとき困った。部屋の温度、湿度、餌の種類、餌を与える方法・タイミング、飼育環境の掃除方法など、種や個体によってさまざまな対応が必要なのだ。SNSの投稿で、全てを理解して預かってくれる人が偶然見つかった。ペットシッターにニーズがあるということは飼い主として痛いほど分かる。思わぬ副業チャンスを聞けた。

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