和僑HD社長 坂田敦宏さんの巻(5)
郷土料理 吟(東京・歌舞伎町)
和食店やラーメン店、居酒屋、ステーキ店など幅広い業態の飲食店を展開するこの人は、新宿に詳しい。飲食店の口コミサイトでは、「新宿グルメ王」とたたえられる。そんな新宿通のオススメが、「郷土料理 吟」だ。
「その日の刺し身や旬のメニューを何品かいただいてから、名物のレタスしゃぶしゃぶで締めるのが、吟さんの流儀です。塩ベースのスープに豚バラとレタスをさっとくぐらせると、とてもおいしい。この店でレタしゃぶを注文しない人はいません。それくらい人気ですからぜひ!」
レタスしゃぶしゃぶは鹿児島料理屋でいただいたことがある。豚バラとレタスを出汁でしゃぶしゃぶするシンプルな料理だからこそ、出汁と素材のよさでおいしさが変わる印象だ。これは楽しみ。早速、歌舞伎町の新宿バッティングセンター近くの店に同僚と向かった。
予約した18時30分ちょうどに着くと、4つのテーブルや小上がり、カウンターなど合わせて20席ほどがすべて予約で埋まっていた。なるほど、すごい人気だ。
旬の食材の料理がズラリ
メニューを見ると、刺し身(1300円~)はマグロ、ハタ、甘エビ、馬刺しなどで、3種盛り合わせは2800円。今月のオススメとして、新玉ネギの天ぷら(800円)や竹の子煮(1200円)、メバル唐揚げ(1300円)など旬の食材の料理がズラリ。さらにレギュラーメニューにも、魚や野菜の焼き物や揚げ物、珍味などが並ぶ。
目移りするが、レタしゃぶの分を残すべく、軽めに。塩ウニやホタルイカの沖漬けなどの珍味盛り(1200円)と竹の子煮、新玉ネギの醤油漬け(650円)をチョイスして、生ビール(680円)を飲みながらしばし待つ。
どれもスタートにはちょうどよく、ビールの酔いもあって、腹のエンジンが動き始める。そろそろレタしゃぶの出番だ。2人前(5500円)をお願いします。
女性もお代わりするヘルシーさ
セットされた鍋には、スープの中にキャベツやニラ、エノキ、長ネギなどが浸っている。そこに真打ち登場。レタスは、丸々1個分がちぎられてキレイに丸く盛られている。そして、きちんと整列した豚バラが。
「最初は私がやりましょう」と女将さん。スープの半分に豚バラを並べ、もう一方にレタスを入れていく。
「豚肉に火が通ったら、出来上がりです。レタスがシャキシャキのうちにサッと召し上がってください」
器によそってハフハフしながら口に運ぶ。シャキシャキのレタスに豚肉の甘みがかさなって、シンプルながら最高にウマい。そのおいしさを引き出す塩スープが抜群だ。「このスープなら、どんな野菜を入れてもウマいっすよ」と同僚が言うのも納得で、鍋に浸したレタスがあっという間になくなる。
「レタスの緑が鮮やかなうちに食べるのが鉄則。話し込んだりして、レタスが黒ずんだらおいしくありません。この鍋は、テンポよくいただくのが重要で、そうやっているとレタス1玉は女性でもペロリです。実際、女性の方でもレタスをお代わりすることは珍しくありませんよ」
坂田さんがそう言うように、記者も追加のレタス(870円)と豚バラ(870円)を注文。それを平らげたところで、シメのちゃんぽん麺(400円)だ。
「豚肉よりレタスをたくさん食べるので、とてもヘルシーで罪悪感がないのもいいんです」(坂田さん)
その通りで、男2人、シメのちゃんぽん麺は1人前で十分だったほど腹パンだったが、膨満感を翌朝に持ち越すことはなく、スッキリ。これはクセになりそうだ。
(取材協力・キイストン)
■郷土料理 吟
東京都新宿区歌舞伎町2-22-13 ADビル1階
℡03.3200.9028
▽和僑グループ 日本橋茅場町不二楼、ヒノマル食堂、新潟ラーメンなおじなど国内外に約30店舗を展開。最近は「韓国屋台ペゴッパヨ」「焼肉うしやま」など新業態のプロデュースなども手掛け、活躍の場を広げている。
▽坂田敦宏(さかた・あつひろ) 1968年生まれ。和僑HD社長。21歳で清掃業での起業を皮切りにさまざまな業界を経験するが、2012年、脳出血で倒れ、半身不随に。2年間のリハビリを経て社会復帰。訪問看護事業を立ち上げると、投資家としても活動する。