旧統一教会「世界平和統一家庭連合」の勧誘から自分と家族の身を守る方法
全国霊感商法対策弁護士連絡会などによると、昨年末までの約35年で世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に関する被害総額は約1237億円。09年以降も昨年までに約4000件の相談があり、約175億6000万円の被害が出ているという。家庭連合の田中富広会長が会見で話した「09年以降、そういったトラブルはありません」という言い分と大きく食い違っている。
(編集部注= 旧統一教会側は17日、上記の発言について、「コンプライアンス順守の結果が表れているという趣旨であり、トラブルがゼロになったという意味ではない。言葉不足で誤解を招いたことを率直におわびする」などとする声明を出した)
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旧統一教会を巡るトラブルは1980年代後半から目立ち始め、桜田淳子らが参加した1992年の合同結婚式(祝福結婚)はメディアでも大きく取り上げられた。マインドコントロールという言葉が広く知られ、後にオウム真理教も影響を受けたとされる。
だが、あれからすでに30年の歳月が過ぎて人々の記憶も薄れ、特に若い世代は「統一教会」の騒動自体を知らない。
ごく簡単に騒動後を説明すると、旧統一教会は1994年に現在の「世界平和統一家庭連合」に名前が変わり、日本では遅れて2015年に文化庁から改称を認められている。2012年に開祖の文鮮明氏が死去すると、本国の韓国で内部対立が発生。妻の韓鶴子氏が総裁として教団を継承したが、七男がサンクチュアリ教会を設立して分派している。ちなみに、文鮮明氏と韓氏は合計14人の子供をもうけたが、薬物依存や自動車事故死など必ずしも家庭は円満とは言えない。
宗教団体としてはキリスト教のカルト団体に分類されるが、教団内の主要な考え方は「日韓友好」「世界平和」「南北朝鮮の統一」「在日同胞の融和」が基本線にあり、その理念自体は素晴らしいと共感する人もいる。一方、政治的には右派傾向にあり、憲法改正や集団的自衛権の行使容認、非核三原則の改廃、LGBTの否定、性教育の廃止(貞操教育の実践)と、安倍元首相が率いた清和会に近い思想となっている。特に傘下の「勝共UNITE」(旧・国際勝共連合)は反共産主義の団体で、ツイッターや機関紙などで共産党や立憲民主党の批判を盛んに展開中。SNSでよく見かける過激な意見が、実はこの団体の発信だったりする。また、選挙のたびに信者を自民党系候補の応援に回すなど自民党と蜜月なのも有名だ。