農業の全国平均所得は123万6000円…農協経由から直販に切り替えて所得を増やす
井上農場代表 井上馨さん(山形県)
山形県鶴岡市の米どころ庄内平野。株式会社井上農場(井上馨代表)は、ここで52ヘクタール(5200アール)の大規模稲作を展開している。
かつては面積3ヘクタールほどの農家だった。だが米だけでは生計が立たず、地域ではどの農家も出稼ぎをしていた。井上さんも同じだ。
そのうち多くの農家は農業以外の仕事に就いて離農、高齢化のため農業を続けることが困難だという人も出てきた。そこで、井上さんは周りの農家の農地を引き受け専業農家となる。農協の出荷から直販に切り替えた。流通を経由しないぶん所得も高くなるという仕組みだ。
農林水産省の米の相対取引価格は玄米60キロ税込みで全国平均価格1万3850円(2022年)。山形県の10アール当たり予想収量は594キロ。井上さんが農業を始めた当時の3ヘクタールだと米の収量は1万7820キロ。60キロで297袋。価格は411万3450円。ここから人件費、肥料・燃料・種苗・道具などを差し引くこととなる。農水省統計によれば全国平均の農業所得はわずか123万6000円(20年)なのだ。