外出できる「肌着」ジェームズ・ボンドも愛用した滑らかで光沢ある綿素材
Tシャツは大きく分けて2種類ある。ひとつは「ヘインズ」に代表される、ネック部分が2センチほどのリブになっていて、ジーンズと合わせるカジュアルな着方が似合うTシャツ。もうひとつはネック部分を共地で覆ったバインダーネックと呼ばれるタイプで、ジャケットやシャツを羽織ったときにサマになる上品な着方ができる大人向けTシャツだ。ジョルジオ・アルマーニがポートレートで着ている黒いTシャツといえばイメージしやすいだろうか。
イギリス貴族のためのTシャツを作り続けてきたサンスペルは、明らかに後者のタイプだ。派手なロゴプリントもなければ、最近の若者が着ているような肩の落ちるトレンドのデザインでもない。体にほどよくフィットするシンプルな「クラシックTシャツ」は、これまでのどのTシャツよりも滑らかな、シルクのようにうっすら光沢ある綿素材が使われていて、袖を通すだけで優雅な気分に浸ることができる。なるほど「外出できる高級肌着」か。
■ボンド着用はキムタク以上の影響力
サンスペルは創業当時、貴族のための肌着やストッキングを製造する会社だった。以前から日本でも高級百貨店で扱われており、富裕層に愛用者が多かったが、その名が大きく取り上げられたのは2006年の映画「007/カジノ・ロワイヤル」だろう。ダニエル・クレイグ演じるジェームズ・ボンドが着用したポロシャツが、サンスペルの「リヴィエラ」というモデルだったのだが、同時に「定価1万円のクラシックTシャツ」が取り上げられ、ファッション誌などメディアを通じて知られるようになった。