筆跡カウンセラーが説く毎日10分の「文字トレ」…筆跡の乱れは心の乱れ、自律神経の鍛錬を

公開日: 更新日:

 仕事やプライベートなどのトラブルでストレスを抱えることはだれにでもある。仕事納めに向けてラストスパートをかけるこの時季は、その負荷が強まるタイミングかもしれない。正月休みにリフレッシュしよう。そう思っている人は、文字を丁寧に書く練習がそのキッカケになるという。

 ◇  ◇  ◇

■6割は1年間で何らかの心の不調が…

 情報通信関連のマイボイスコムは先月、10~70代の9711人を対象に「メンタルヘルス・心の健康」に関するインターネット調査を実施。それによると、直近1年間で何らかの心の健康の不調を感じた人は6割強だった。複数回答でその内容を答えてもらうと、「気力がなくなる、やる気がおきない」が30.0%、「イライラする、怒りっぽい」が25.5%、「気分が重い・沈む、ゆううつ」が23.4%と続いていた。

 心の不調があった人には、身体的な不調についても質問。「肩こり、腰痛、関節痛」「目の疲れ、目の痛み、かすみ目」「便秘・下痢、軟便、腹痛、おなかが張る」「睡眠の質が悪い」がそれぞれ3割弱だった。精神的なつらさを感じている人は身体的な症状も重なっていることが見て取れるだろう。

 そんなときの対処法は何か。一番は「十分な睡眠」で29.6%。以下、「体を休める」(27.2%)、「自分の好きなことや趣味などをする」(23.4%)だった。まぁ、“想定内”の結果だが、実はそんな精神的な不調の対処法として注目を集めているのが文字を丁寧に書く練習、いわば「文字トレ」だ。

「文字を書くときにはとめ、はね、はらいのほか、バランスなどいくつかポイントがあります。ストレスなどで精神的なトラブルを抱えていると、その精神的な乱れが文字の乱れとして表れやすいのです」

 こう言うのは、筆跡カウンセラーの石﨑白龍氏だ。筆跡心理学者の第一人者で警視庁の嘱託筆跡鑑定人も務めた森岡恒舟氏に師事。筆跡診断士の資格を取得すると、これまでに小学生から80代までのべ10万人以上の文字を診てきた。その長くて深い経験から、文字には精神的な影響が強く表れることを見いだし、「文字を丁寧に書く文字トレが精神力の強化につながる」という。

「筆跡診断は、欧米では大学のカリキュラムにも含まれる行動心理学のひとつで、書道のように美しさを追求するものではありません。その人の文字のクセから、精神状態を診るのです。逆に文字をゆっくりと丁寧に、一定のリズムで書く練習を続けることで、集中力がアップします。毎日繰り返すと、次第に自律神経が整うため、精神力が強化されるのです」

 石﨑氏は、「気がつくと自律神経が整う! メンタルアップ文字トレ」(徳間書店)を出版。その中で自律神経に詳しい順天堂大学医学部教授の小林弘幸氏と対談し、小林教授はこう語っている。

「たとえば塗り絵は、余計なことを考えず『色を塗る』ことだけに集中するため、自然と深い呼吸になって自律神経を整えるのですが、文字を書くことにも同じ効果が期待できます」

 小林教授は毎日の日記を習慣化する一方、患者にも自律神経の鍛錬の一環として、文字トレを勧めているそうだ。

最新のライフ記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    日本は強い国か…「障害者年金」を半分に減額とは

  2. 2

    SBI新生銀が「貯金量107兆円」のJAグループマネーにリーチ…農林中金と資本提携し再上場へ

  3. 3

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  4. 4

    「おこめ券」でJAはボロ儲け? 国民から「いらない!」とブーイングでも鈴木農相が執着するワケ

  5. 5

    NHK朝ドラ「ばけばけ」が途中から人気上昇のナゾ 暗く重く地味なストーリーなのに…

  1. 6

    侍Jで加速する「チーム大谷」…国内組で浮上する“後方支援”要員の投打ベテラン

  2. 7

    石破前首相も参戦で「おこめ券」批判拡大…届くのは春以降、米価下落ならありがたみゼロ

  3. 8

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  4. 9

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  5. 10

    高市政権の物価高対策「自治体が自由に使える=丸投げ」に大ブーイング…ネットでも「おこめ券はいらない!」