かゆいニキビダニ「毛包虫」異常なしでも顕微鏡検査がおすすめ

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入浴剤で温浴する治療法も

 診断するには、皮膚や炎症の分泌物を採取し、顕微鏡で確認。そこにイモムシのような寄生虫が見つかれば、毛包虫と診断できます。あるいは体表や毛穴にセロハンテープを貼りつけ、剥がしたテープを顕微鏡で確認する方法も推奨されていますが、そこまでする獣医師はなかなか少ないのが現実です。

 その理由は何度検査しても異常が見つからないことが多いのがひとつで、一般的な皮膚炎との診断で適切な薬を処方するとほとんどが改善傾向に向かうのがもうひとつです。

 治療はさまざまで、当院では別府温泉の湯にプロポリスや薬草などを配合した入浴剤で温浴してもらっています。主成分の硫黄には、炎症やかゆみを抑え、虫よけの効果もあるのです。最初のうちは全身浴で1週間ごとに、改善したら1カ月ごとに間隔をあけるようにします。

 駆虫剤の場合は、コロナ禍でも話題になったイベルメクチンが最も効果的で、毎日服用。なるべく30日間、皮膚がきれいになるまで継続します。その後は、増殖抑制のため1カ月に1回、注射で投与するのが通例です。前述した通り毛包虫は常在寄生虫で、完全な駆虫ができません。薬の使用は、“鎮圧”のイメージといえます。

 最近は、「ブラベクト」という薬も話題です。フィラリアを含む外部寄生虫駆虫剤で、毛包虫にも効能があります。薬効が3カ月続くためフィラリアの予防薬として兼用する飼い主さんもいます。

 われわれ獣医師の間では、この虫をアカラスという俗称で軽視する人もいますが、異常が確認できないのに、かゆみがよくならないときは、粘り強く顕微鏡検査をお願いするとよいかもしれません。最初の受診から長期間が経過して診断されることもありますから。

(カーター動物病院・片岡重明院長)

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