自転車のルールを再チェック 警察庁が青切符導入を検討…歩道で歩行者を驚かせる走行は罰金へ

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 自転車の交通違反が急増していることを受け、警察庁は自転車への取り締まりを強化している。その中には、自転車のように見えて自転車ではない「モペット」も含まれる。警察庁は自転車への青切符導入も打ち出しているだけに、改めて自転車を巡るルールをチェックしよう。

 モペットをめぐっては先月、都内で昨年7月に70代女性との衝突事故を起こした20代男性が自動車運転処罰法違反などの疑いで書類送検された。罪名から分かるように、ペダルがついたモペットは一見、自転車のようだが、自転車ではない。自動車ジャーナリストの横田晃氏が言う。

「モペットは道路交通法で原動機付き自転車として扱われます。原付バイクと同じですから、公道を走るときは、普通自動車免許や原動機付き自転車免許などが必要で、ヘルメットの着用とナンバープレートやウインカーなどの装着が必須です。また、自動車損害賠償保障法では、原付バイクを含むすべての自動車は、自賠責保険への加入が義務づけられているので、モペットの運転手も例外ではありません。ところが、モペットに乗る人の中には、原付バイクという認識ではなく、“自転車”という認識で運転ルールを無視している人が目立ちます」

 横田氏が指摘するように書類送検された男性は無免許で、「寝坊してアルバイト先に急いでいた。周りの人も使っているので取り締まりは受けないと思っていた」と供述している。信号無視も重ねていたことから、事態を重く見た警察は、起訴を求める「厳重処分」の意見をつけて書類送検した。

■「自転車100%」になる違反も

 不起訴は無罪だが、起訴だと有罪の可能性が高い。軽い気持ちでさまざまな自転車を運転して事故を起こしたら、事故の重さによっては実刑もありうる。ではどんな運転が危ないのか。自転車の違いを含めて、横田氏に聞いた。

 まず自転車は、道路交通法で馬車や荷車、そり、被牽引車と並ぶ軽車両のひとつで、「ペダルまたはハンド・クランクを用い、かつ、人の力で運転する二輪以上の車(身体障害者用車いすや小児用の車などは除外)」と定義される。さらに内閣府令で定められた「長さ190センチ以内、幅60センチ以内」の大きさや、「四輪以下」「側車をつけていない」「運転者以外の乗車装置を備えていない(幼児用座席は除く)」といった構造に合致するものが「普通自転車」と定められている。

「自転車は、車道の左側を走るのが原則で、歩道は歩行者が優先です。運転手が子供や高齢者の場合や道路工事で車道の左側走行が難しい場合などは、歩道走行もできますが、それでも車道寄りを十分に徐行しなければいけません」

 歩道で自転車が歩行者と衝突すると、歩行者に飛び出しなどの落ち度がなければ過失割合は自転車が100%。急な飛び出しだと、自転車90%:歩行者10%だが、それでも自転車側に徐行違反や無灯火などのルール違反があると、自転車100%になる可能性が高いという。

 警察庁によると、2022年の自転車関連事故(自転車が第1当事者または第2当事者の事故)の件数は6万9985件だ。件数そのものは減少傾向だが、全事故に占める自転車が絡む割合は23.3%で、18年から右肩上がり。自転車が絡む事故のうち約73%は、自転車側の法令違反が認められたという。

反則金ナシの警告件数は約131万件

 自転車の取り締まりでは、交通ルールが書かれたカードを違反者に見せる警告が行われる。警告には罰則は伴わない。22年の警告件数は全国で131万8830件。飲酒運転や酒気帯び運転、携帯電話を使いながらの運転などの悪質な場合には、交通切符(赤切符)が交付されて、刑事罰の対象として検察に送致される。22年の赤切符は、全国で2万4549件。

 自転車事故の増加に伴い、来年をメドに反則金を科す青切符を導入する法改正が行われる見通しだ。反則金は5000~1万2000円とされ、対象となる違反は100あまり。具体的には次のようなケースが想定される。

●携帯電話を見ながら運転する

●例外的に歩道を走行できる場合でも徐行しない

●傘を差したり、イヤホンをつけたりしながら運転する

●一時停止せずに交差点に進入して歩行者の歩調を緩めさせた

●警察の警告に従わず車道の右側通行を続けた(逆走)

●遮断機が下りている踏切に立ち入る

●歩道で歩行者を立ち止まらせて歩行者の通行を妨げる

 信号無視や一時不停止はもちろん、歩行者を驚かせるような走行はアウトになる可能性が高い。日常的によく見かける運転で、身に覚えがある人はいまのうちに運転を見直すべきだろう。

■モペットはエンジンを切っても歩道走行NG

 一方、冒頭のモペットは、いわゆる原付で、自転車ではない。電動機能を備えた自転車との違いは何なのか。

 電動機能を備えた自転車のうち道路交通法で自転車に該当するのは「電動アシスト自転車(e-BIKE)」だ。e-BIKEに搭載されている電動機能はあくまでも運転手を補助するもので、運転手がペダルをこがないと走ることができず、ペダルをこぐのをやめると電動サポートも停止する。

 そのサポート力にも基準があって、時速24キロまではサポートを得られるが、24キロを超えるとゼロになる。このサポート機能を満たす自転車がe-BIKEで、ペダルをこがずに走ったり24キロを超えてもサポートがあったりするのが原付扱いのモペットだ。

「道路交通法に適合するe-BIKEは歩道を走行できますが、モペットは原動機付き自転車と同じ扱いですから、歩道を走行することができません。モペットで歩道を走行すると、交通違反になります」

 モペットのエンジンを切って押しながら歩道を歩く分には問題ないが、たとえエンジンを切ってペダルのみで走行していても原付バイクの扱いだけに歩道はアウトだ。通行区分違反を問われることになる。e-BIKEとモペットとの違いは主に2つだという。

「電動モーターのみでは走行できないのがe-BIKEで、できるのがモペットです。もうひとつは道路交通法上の扱いで、『軽車両(自転車)』がe-BIKEで、原動機付き自転車がモペットです」

 見た目は、e-BIKEもモペットも変わらない。しかし、モペットの中には、ペダルをこがずに時速50キロ近くまで加速できる高速タイプもあって、そんな高速タイプによる衝突事故で被害者が重傷を負うケースが相次いでいる。

「深夜などで歩道に人が少ないと、高速のモペットが歩道を走行しているシーンを目撃したことがあります。こうした危険な運転による事故が減らない以上、罰則強化の流れは仕方ないでしょう。警察は利用者に交通ルールの徹底をアナウンスするとともに、自転車ごとの違いをもっと積極的に広報することも必要だと思います。そしてモペットについては免許制を強くPRして、原付バイクと同じような運用で運輸局での登録を厳格にすべきでしょう」

 携帯電話のながら運転の罰則は、自転車の場合、都道府県公安委員会規則で5万円以下の罰金となっているが、法定化による格上げや罰則強化も検討されている。現状罰則なしの自転車の酒気帯び運転も同様で、罰則規定の整備がテーマになっている。

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