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内田正治タクシードライバー

1951年埼玉県生まれ。大学卒業後、家業の日用品、雑貨の卸会社の専務に。しかし、50歳のときに会社は倒産。妻とも離婚。両親を養うためにタクシードライバーに。1日300キロ走行の日々がはじまった。「タクシードライバーぐるぐる日記」(三五館シンシャ)がベストセラーに。

(17)「籠脱け」被害で私は一計を案じた…「お宅の玄関までお供いたします!」

公開日: 更新日:

 この「駕籠脱け」を機に一計を案じた。不審そうであろうが、善良そうであろうが、「お金を取ってくる」というお客にはこう言うことに決めた。

「お客さま、お宅の玄関までお供して料金を取りに伺います。お客さまに戻ってくるお手間を取らせるわけにはまいりませんし……。会社の決まりなんです」

「会社の決まり」は真っ赤なウソである。クルマのエンジンを止め、領収書と釣り銭ケースを持って家の玄関までついていくことにしたのだ。会ったばかりの他人。途中、エレベーターの中では、気まずい空気も流れたが、自己防衛のための苦肉の策だ。幸いなことに、料金を踏み倒すために暴力をはたらいたり、逃げたりするお客はいなかった。

 駕籠屋であれば、担ぎ手は2人だから、1人は駕籠を守り、もう1人が料金回収のためにお客についていけばいいのだろうが、タクシーはそうはいかない。エンジンを切り、釣り銭を持参し、クルマをロックするという手間がかかるが、「駕籠脱け」されるよりはマシというわけだ。無粋と思われそうだが、こちらは生活がかかっているのだ。

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