著者のコラム一覧
内田正治タクシードライバー

1951年埼玉県生まれ。大学卒業後、家業の日用品、雑貨の卸会社の専務に。しかし、50歳のときに会社は倒産。妻とも離婚。両親を養うためにタクシードライバーに。1日300キロ走行の日々がはじまった。「タクシードライバーぐるぐる日記」(三五館シンシャ)がベストセラーに。

(17)「籠脱け」被害で私は一計を案じた…「お宅の玄関までお供いたします!」

公開日: 更新日:

 この「駕籠脱け」を機に一計を案じた。不審そうであろうが、善良そうであろうが、「お金を取ってくる」というお客にはこう言うことに決めた。

「お客さま、お宅の玄関までお供して料金を取りに伺います。お客さまに戻ってくるお手間を取らせるわけにはまいりませんし……。会社の決まりなんです」

「会社の決まり」は真っ赤なウソである。クルマのエンジンを止め、領収書と釣り銭ケースを持って家の玄関までついていくことにしたのだ。会ったばかりの他人。途中、エレベーターの中では、気まずい空気も流れたが、自己防衛のための苦肉の策だ。幸いなことに、料金を踏み倒すために暴力をはたらいたり、逃げたりするお客はいなかった。

 駕籠屋であれば、担ぎ手は2人だから、1人は駕籠を守り、もう1人が料金回収のためにお客についていけばいいのだろうが、タクシーはそうはいかない。エンジンを切り、釣り銭を持参し、クルマをロックするという手間がかかるが、「駕籠脱け」されるよりはマシというわけだ。無粋と思われそうだが、こちらは生活がかかっているのだ。

最新のライフ記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  2. 2

    農水省ゴリ押し「おこめ券」は完全失速…鈴木農相も「食料品全般に使える」とコメ高騰対策から逸脱の本末転倒

  3. 3

    TBS「ザ・ロイヤルファミリー」はロケ地巡礼も大盛り上がり

  4. 4

    維新の政権しがみつき戦略は破綻確実…定数削減を「改革のセンターピン」とイキった吉村代表ダサすぎる発言後退

  5. 5

    3度目の日本記録更新 マラソン大迫傑は目的と手段が明確で“分かりやすい”から面白い

  1. 6

    国分太一“追放”騒動…日テレが一転して平謝りのウラを読む

  2. 7

    粗品「THE W」での“爆弾発言”が物議…「1秒も面白くなかった」「レベルの低い大会だった」「間違ったお笑い」

  3. 8

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  4. 9

    「おまえになんか、値がつかないよ」編成本部長の捨て台詞でFA宣言を決意した

  5. 10

    巨人阿部監督の“育成放棄宣言”に選手とファン絶望…ベテラン偏重、補強優先はもうウンザリ