「味噌汁の味を覚えないのよ~」義母の“昭和な価値観”に苦しめられ…28歳新妻が取った静かな逆襲
「お台所くらい手伝えるわよね?」の衝撃
幸せなはずの新婚生活に影を落としたのは、姑からの「お嫁さんなんだから当然」という圧力と、夫の無関心だった――。令和の時代でも根強く残る嫁姑トラブルに直面した28歳女性が下した決断とは?
結婚して半年。まだ新婚の幸せに浸っていたはずの友人A子が、ある日ため息まじりにこんな話をしてきた。
A子は28歳、営業職の会社員。穏やかで優しい雰囲気の女性で、趣味は料理と旅行。相手は同い年の公務員で、交際2年を経て結婚。周囲からも「お似合いの夫婦」と言われ、私も祝福したひとりだった。
しかし、その“理想の結婚生活”は夫の実家に行った瞬間から音を立てて崩れていった。
最初に異変を感じたのは、結婚式の後、初めて夫の実家に挨拶へ行ったときだった。姑は笑顔で迎えてくれたものの、食事の準備が始まると当然のようにA子にエプロンを差し出してきた。
「お嫁さんなんだから、お台所くらい手伝えるわよね?」
軽い調子で言われ、周囲の親戚も見ている手前、A子は断れず、慣れないキッチンに立つことになった。
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夫は笑ってごまかし、見て見ぬふり
その日は「まあ仕方ないか」と思えたらしいが、それからというもの、夫の実家に行くたびに“当たり前”のように料理や片付けがA子の役割になった。
「女なんだから、やって当然よ」
姑は口癖のようにそう言った。夫も「まぁまぁ、母さんの言うことだから」と笑ってごまかすだけ。
「私、結婚したんじゃなくて、住み込みのヘルパーとして雇われたのかな?」
A子は苦笑しながらも、どこか疲れ切った表情をしていた。一番つらかったのは、夫が完全に見て見ぬフリをしていたことだという。
あるとき、A子が料理を運んでいる最中に姑から「盛り付けが雑」と叱られた時も、夫は何も言わず黙ってテレビを見ていた。
「せめて一言フォローしてくれたら救われるのに」
A子は泣きそうになったそうだ。
夫に相談するも「悪気はない」取り合ってもらえず
さらに姑は親戚の前で、A子を“気が利かない嫁”として冗談交じりに話すこともあった。
「この子、うちの味噌汁の味を覚えるのに3回もかかったのよ~」と笑いながら言うと場は盛り上がるが、A子は恥ずかしさで顔が真っ赤になった。
私が驚いたのは、A子が本当に頑張っていたということだ。普段から料理も家事も得意で、むしろ「いいお嫁さん」タイプなのに、それでも姑には認めてもらえなかった。
結局、A子は夫に真剣に相談した。
「私、あなたの家に行くといつも辛い。結婚したのはあなたであって、家政婦になるためじゃない」
勇気を出して伝えたのだ。ところが夫の答えは、「母さんの世代はそういう考え方なんだよ。悪気はないんだし、うまくやってよ」と取り合わないものだった。
むしろA子のほうが“わがまま”だと言われたような気がして、深く傷ついたらしい。
それ以来、A子は夫の実家に行くのを極力避けるようになった。年末年始やお盆も仕事を理由に短時間だけ顔を出し、料理や片付けをすべて引き受けることはなくなった。
「私だって、無理に笑顔で奉仕する必要はないんだって気づいたの」
そう話す彼女の顔には、少しだけ吹っ切れたような強さがあった。
嫁姑問題の分かれ道は
この話を聞いて、私は心底ゾッとした。結婚すれば“家族”になれると思っていたけれど、実際には“お嫁さん”という立場が古い価値観に縛られて、気づかぬうちに“家政婦”のように扱われてしまう現実がある。
しかもそれを一番近くで見ているはずの夫が何もしてくれないのは、想像以上に心細いことだ。
A子は最後に、「姑との関係よりも、夫がどう向き合ってくれるかが一番大事だと思う」と語った。その言葉に私は深く頷いた。
嫁姑問題の分かれ道は、結局のところ夫がどれだけ妻の味方でいられるかどうかにかかっている。
結婚はゴールではなく、始まりだ。姑の価値観に縛られず、自分の人生を大切にすることが、A子にとって本当の意味での“新婚生活”の第一歩だったのだろう。
(おがわん/ライター)