(4)めまい患者88人対象の臨床研究で効果を実証…症状の程度が半減
「ヘッドアップ就寝治療」がどれほど効果的なのかを調べるために、私たちは良性発作性頭位めまい症(BPPV)の患者さん、男女88人の協力を得て、臨床研究を行いました。
患者さんをランダムに2つのグループに分け、一方のグループにはヘッドアップ就寝治療を毎晩行ってもらい、もう一方のグループには従来通りの寝方をしてもらいました。そして6カ月後、「眼振」の検査を実施したのです。
眼振とは眼球が水平や上下に動くことで、BPPVかどうかを判定する指標のひとつとなります。すると、ヘッドアップ就寝治療を行ったグループでは、眼振の消失率が有意に増加していました。これは、ヘッドアップ就寝治療がBPPVの改善に有効であることを示します。
また、主観的なめまい感についても調べました。ヘッドアップ就寝治療の前の状態を10とした場合、6カ月後どの程度まで良くなったかを数字で表してもらうと、全体の平均が10から5に低下しました。完治まではいかなくても、「めまいが軽くなった」という実感を得られたことは、完治に向けての大きな一歩と言えるでしょう。