いざという時に備える「防災本」特集
「NG行動がわかる防災事典」タイチョー著、みぞぐちともやイラスト
普通の生活を送っていた人たちが突然の災害でピンチを迎えることは少なくないが、あらかじめ適切に備えることで被害を少なくすることはできる。今回は災害時のNG行動、避難が難しい人の防災、子どもの防災、防災リュックの4つの観点から、防災本を4冊ご紹介する。
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「NG行動がわかる防災事典」タイチョー著、みぞぐちともやイラスト
災害時に、慌てず適切な行動をとれるかどうかが生死の分かれ目になることがある。本書は、元大阪市消防局職員で防災アドバイザーとして活躍中の著者による、発災時に正しい行動を選択するための知識&行動集。
たとえば地震の際、ついやってしまうNG行動として①家具を押さえる②天井を見上げる③窓を開けるなどがある。①は家具の下敷きになりかねず、②は割れた照明や窓ガラスで目をケガする恐れが高くなり、③は割れた窓ガラスでケガをしかねないので開けるのは扉にするべきだと助言。
ほかにも集中豪雨などの冠水時に避難する際には、普通の長靴は水が入って動きにくい上に踏ん張りがきかないのでスニーカーにすべきとのこと。防災グッズを準備しただけでは補えない、命を守るための判断に基づいた行動を教えてくれる。 (KADOKAWA 1540円)
「だれでも防災」鍵屋一著
「だれでも防災」鍵屋一著
災害が起こった際に、避難が難しい人がいる。たとえば、体が不自由な人、高齢者や持病がある人、知的障害者や精神障害者、妊産婦、乳幼児や子ども、セクシュアルマイノリティー、外国人や観光客などだ。配慮がないままだとこれらの人たちは避難が遅れたり、避難をためらったりする状況になりかねない。 本書は、万人に共通する防災から、タイプに応じて要支援者と支援者があらかじめ知っておくといい情報までを網羅した防災の書。
たとえば、ひとり暮らしの高齢者は、行政の避難行動要支援者名簿に登録しておき、手助けしてもらえる人や避難場所を具体的に決めた上で、いざとなったら避難は早めに開始するのが必須。
なお本書を目で読むのが難しい人のために、テキストデータを提供するなどの配慮もされている。 (中央法規 1870円)
「大人も知らない?サバイバル 防災事典2」サバイバル防災研究会編、国崎信江監修、森のくじらイラスト
「大人も知らない?サバイバル 防災事典2」サバイバル防災研究会編、国崎信江監修、森のくじらイラスト
万一のことが起こったとき、どうしたらいいか判断しなければならないのは大人だけではない。本書は、子どもが自分で自分を守るために知っておきたい知識を、たくさんのイラストを使ってまとめた人気のサバイバル本の第2弾。地震や山火事、猛暑、大雨などの自然災害のほかにアウトドア時や日常生活で起こりがちな危険を取り上げ、その際の対処法を紹介している。
不審者に遭遇したら近くのお店や「子ども110番の家」に逃げ込む、ネットで誹謗中傷を受けたらスクリーンショットで証拠を残して大人に相談するなど、最近の社会状況に合わせたサバイバル方法も網羅。
スマホが使えないときに役立つ防災カードと小銭、ランドセルに入れておく防災ポーチなど、親が用意できる子ども用防災グッズも紹介されている。 (マイクロマガジン社 1100円)
「防災リュック はじめてBOOK」髙荷智也著
「防災リュック はじめてBOOK」髙荷智也著
防災対策として買った市販の防災リュックを、中身も見ず放置していないだろうか。著者は、そのリュックが「死なないための防災リュック」になっているかを問い、最適化する必要性を強調する。
本書では、命を守るグッズとして「身につける装備品」「情報収集と安否確認の道具」「応急手当てと体温の維持のための道具」を、災害時に生活を維持するグッズとして「寝具とプライバシー管理の道具」「衛生管理用品」「生活用品」などを、優先度別に整理。
危険物を踏み抜かないための靴の中に入れる踏み抜き防止インソールの準備、避難時自宅を出る直前に追加品を入れるためにリュックのポケットをひとつあけておく、リュックを背負って散歩する防災散歩の勧めなど、防災リュックづくりに役立つ実用性に富んだヒントが満載だ。 (徳間書店 2090円)