清瀬の人情酒場「みゆき食堂」の揚げ出し豆腐はうまいのなんの

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家族で切り盛りする昭和の人情酒場食堂

 でも、泥酔してる客には常連といえども酒は出さない。なぜなら転んでケガでもされたら店に来られなくなるから。「そうなったらお互い悲しいでしょ」。相手の身になって考えるとそれが後々自分たちに戻ってくる。“今だけ金だけ自分だけ”といわれるご時世、身に染みるね。

 そんな話にウルウルしていると、そこに特大の揚げ出し豆腐が来た。ウルッている場合ではない。なんと豆腐がパン粉で揚げてある。初めての豆腐カツだ。これがうまいのなんのって! 出汁に浸さずソースをぶっかけて食いたくなる。アタシは無謀にもジャンボ餃子ハーフ(300円)と自家製味噌のカシラの味噌焼き(3本で350円)を追加。イカン! カキフライが食えなくなってしまった。また来なきゃ。お勘定の際、創業者の尾崎さんご夫婦を紹介してもらった。

 厨房から顔を出した彰一郎さんは任侠映画のシブい二枚目、笑顔の可愛い奥さまの由美子さんはその恋女房といった風情。「慌てずのんびり書いてください」。彰一郎さんの優しい言葉にまたウルウル。手伝っている若者は彰代さんの息子さんとその友達。家族で切り盛りする昭和の人情酒場食堂。そんな店で過ごす年末。それは至福のひとときであった。

(藤井優)

○みゆき食堂 清瀬市松山1-9-18

【連載】今、こんな「昭和の街」が大ブーム

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