Netflixで話題「古畑任三郎」 伝説の神回《動機の鑑定》に描かれる古美術界のリアリティーに迫る
■実際にあった事件がベース
春峯堂のご主人は、美術館の館長・永井と結託して「慶長の壺」という壺を本物と鑑定。壺は文化財に指定されることが決定し、さらに永井の美術館で公開されることになった。ところが、その壺は美術界で幅を利かせる春峯堂のご主人を快く思っていなかった陶芸家・川北百漢が、彼を陥れるために焼いた“偽物”だったのである。
百漢は春峯堂のご主人に、自らの鑑定ミスを認めるとともに美術協会の理事を辞めるように促す。さもなければ、自分が壺を制作した証拠写真と、自身が所蔵していた“本物の慶長の壺”をメディアに公開すると言い出したのだ。春峯堂のご主人はその後、百漢を銃殺。押し込み強盗の仕業に見せるべく、永井とともにアリバイ作りを行う……というのが序盤のストーリーだ。
実は、この話のもとになった事件は実際に起こっている。当代随一の陶芸家・加藤唐九郎が制作したとされる贋作の壺が、1959年に重要文化財に指定されてしまった事件である。1960年に発覚し、美術界、文化財行政を巻き込む一大スキャンダルとなった。その壺は「慶長の壺」ならぬ「永仁の壺」で、通称「永仁の壺事件」という。永仁の壺事件はその後、壺の文化財指定が解除され、関係者が要職を辞任する事態に発展したが、結局うやむやになり、謎に包まれている部分が多い。

















